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民医連新聞

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[新連載] かあさんの「ほのか」な幸せ ~眠りっこ子育てetc.~ (1)「LOVEでもPEACEでもない!」 そんな心持ちになる日もある。 文:西村理佐

  娘の帆花(ほのか)との生活は、時間に追われる。出産時にへその緒の中の動脈が切れたことが原因で脳に大きなダメージを受け、生まれながらに「眠りっこ」 となった。自発呼吸も全く無く、排尿も自分でできない。24時間人工呼吸器をつけ、1日11回の用手排尿、排痰、体位交換、30分おきの吸引、1日5回の 経管栄養……。とうさんとかあさんが交代で、寝室でとれる睡眠時間は多くて4時間。急に痰詰まりをおこして急変することもあり、常に注意が必要だ。生後9 カ月目にやっとスイートホームに連れて帰ってからもうすぐ3年が経つ。睡眠不足、疲れ、自由に外出できないストレス……追い詰められて、やさぐれて、そん な心持ちになることも、正直ある。
 「こどもは元気に生まれてくるもの」と安易に考えていた浅はかな自分。何の準備も無いままに「超重症児の母」という立場を強いられ、後には改正臓器移植 法の関係で「脳死の子」などと言われることもあった。自分自身が置かれた立場を理解し受け入れ、あるいは母親としてしなければならないことをわかるまでに は時間がかかり、鬱になったりもした。だがそこから救い出してくれたのは、いつもあたたかで優しく、「かあさん、かあさん!」と声にならない声で私に呼び かけてくる帆花のいのちそのものだった。
 特別ないのちなどない。生きにくいいのちがあってはならない。もし、帆花が生きていく道に障害があるのだとしたら、「LOVEでもPEACEでもない」 のは、この世の中のほうだ。しかし、それでも今日、きっと明日もあさっても、こうして生きていけるのは、「いまここに在るいのち」がもたらしてくれる、 「ほのかな」幸せに溢れているからなのだ。

(民医連新聞 第1501号 2011年6月6日)

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