駆け歩きリポート 13年目 「青年職員国会行動研修」 東京民医連 青年職員目線でつくって実行委員も成長 東京
五月一八日、東京民医連が「青年職員国会行動研修」を行いました。「人権と社会保障」をテーマに三四三人が参加(引率者含む)、 三三六人の議員へ医療・介護現場からの要求を手に要請行動をしました。今年で一三回目のこの研修は、実行委員会が事前学習などを重ねて入念に準備したもの です。要請行動に同行しました。(安丸雄介記者)
国会議事堂近くの星陵会館の会場をスーツ姿の新入職員が埋めつくし、知り合い 同士が久しぶりの再会に感激する姿も見られました。法人ごとの班が編成され、新入職員を先頭に国会議員室に要請行動へ。その多くが議員秘書の対応でした が、終了後は「あまりの緊張で途中から何を話したか分からなくなった」などの声も。フレッシュマンらしい研修となりました。
事前準備と学習を精力的に
この研修は、以前に研修を体験したことのある青年職員を中心に実行委員会を結成し、準備されています。半年前から研修をする必要性を元実行委員から知恵も借りながら学習・討議します。新人が持ち寄った請願要求は、法人単位で事前学習などを行って準備されたものです。
たとえば、大田病院では、同院有志が毎月とりくんでいる蒲田駅前での生活相談会に実行委員が参加しました(二月五日)。相談者は約一時間半で三四件。実 行委員からは「医療にかかれない人が本当にいるのだと分かりました」「自分の知識のなさを実感、もっと学ばなくては」との声が。企画の準備をしながら、先 輩職員もまた学んでいます。
また、研修の成功のためにも、企画の工夫も求められます。実行委員の一人、二年目職員の窪田隆治さん(健友会・事務)は、昨年の国会研修について、「参 加者にリハ職員が多くて後期高齢者医療制度の廃止署名では関わる患者さんに該当者が少なく、少し話しづらかった」と振り返ります。そこで健友会では「もっ と話しやすく身近な要求で、今年は国保の問題に絞りました」。
さらに、県連実行委員会では、署名に加え、全日本民医連の「国保など死亡事例調査」も資料で準備しました。
国会研修への思い
今回は「(1)医療と政治との結びつきを知ろう、(2)人権を守る社会保障の あり方について一緒に考えよう、(3)医療・介護・福祉の現場から発信しよう」が獲得目標。紹介議員の数を増やすことではなく、「いかに自分たちの言葉で 議員に伝えられるか」を大切にしようと、実行委員会の中で話し合い共有しました。
東京民医連の吉田万三副会長は「お金がなくてかかりたくても病院にかかれない人がいる」「国会研修は民医連以外の医療機関にはない」「きちんと議員に現 場の声を届けてほしい」と新入職員に呼びかけました。
また、先輩職員代表として谷川智行医師(中野共立病院)が、二○○八年末の年越し派遣村でのボランティア経験を紹介し、「『医療制度』や『社会・政治』 に興味がないことは患者さんに興味がないこととイコール」だと、新入職員に医療と政治の結びつきについて語りました。
新入職員の声は
参加者たちはどんな感想をもったでしょう。栗原陽子さん(健友会・看護師)は当研修について「現場の声を政治に反映させる人に実際に声を届けることを、新人からやっていけるのは意味があると思う」と話します。
「医療・介護の現状をどう考えているか質問すると、中には『考えていません』という回答もあった。国民を第一に考えないといけない議員の秘書なのにガッ カリ」「共産党以外はなかなか医療・介護のことを考えていなかった、共産党が第一党になったらいいのに」という感想も。
また、同じ班の新井史穂さん(健友会・事務)は、「谷川先生が言ったように、国会議員だから偉いわけじゃない。物怖じせずきちんと声を届けることが大事 と思った」「とても楽しい研修だった、次はもっと自分の言葉で話がしたい」と話していました。
各法人の事前のとりくみ
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新入オリエンテーションでのレクチャー(ほくと医療生協、東京保健生協、東都協議会)
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地域班会の参加と患者訪問を行って社会保障制度の要望を聞きとり、要請をつくる(ほくと医療生協)
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「国保」問題をテーマにグループごとに学習、法人の国保死亡事例を学び要請する(健友会)
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「国保」問題に絞って学び要請する(健生会)
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「介護保険」問題、医活研で報告したケースワーカーから事例を聞く(健康文化会)
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東京の避難所訪問などの事前学習(東京勤医会)
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院内実委で「国保」問題学習会(城南福祉医療協会)
そのほか多数あり
(民医連新聞 第1501号 2011年6月6日)