国保 再生のために (7)国保をよくする会 「運動、おもしろい」全国一保険料負担が重い町で 徳島市
最終回は「国保をよくする会」のとりくみを。同会は地域レベルで結成され、国民健康保険料の引き下げや保険証の取り上げ問題など で運動しています。民医連も参加し、自治体労組や住民組織などとともに活動中。最近、各地で活動が活発化しており、その一つが徳島市です。昨年の運動の経 験を聞きました。(木下直子記者)
「こんなにおもしろい署名運動は初めて!」―。国保料を下げてほしいという住民の願いにふれて、こんな声があがったそうです。徳島市では昨年「国保をよくする会」が、徳島民医連をはじめ一〇団体で結成され、国保料引き下げ署名にとりくみました。
6年で3度の保険料アップ
徳島市の国保加入世帯は三一・八%(二〇〇九年度)、加入者の八六%が年間所得二 〇〇万円未満の低所得者層です。しかし、〇四年から一〇年までの六年間で、三度も保険料が値上げされ、一世帯平均三万二〇〇〇円もの負担増に。保険料が所 得に占める割合は、全国の県庁所在地で一位。所得二〇〇万円(給与総収入三一〇万円)の四人世帯の保険料は、五〇万円にもなります。
滞納世帯は増え、約八八〇〇世帯だった〇九年から、一〇年は一万一〇〇〇世帯超。加入世帯の約三分の一にあたる規模に。徳島健生病院では、失業中の糖尿 病患者が、医療費が払えず治療を中断、先行きを苦にして自殺未遂するなどの事例にも遭遇しました。
よくする会の会長は、徳島民医連の久保田滋副会長。「ここ数年、運動にとりくめなかったのですが、その間にこんなに悪くなっているとは」と驚きます。
すさまじい要求
会の結成は昨年九月。一三〇人が参加し、京都市での運動の経験も学んで意思統一しました。署名期間は一二月議会をめざして一〇~一一月とし、学習運動をしながら、中学校区ごとに会を結成してとりくむ作戦が提起されました。
「始めてみると、地域の要求はすさまじいものでした」と久保田さん。「学習会をしても集会をしても、参加者は予想の倍」。学習を通して、国保制度の矛盾 や、徳島市独自の問題もわかってきました。「国保料が高いのは医療費が高いから」としていた市の説明がごまかしだったこと、市の予算から国保財政への拠出 金が打ち切られたが、財源はあること。
運動する人たちにもドラマが。署名集めに連日全戸を訪ねた若者、毎日道路に立って署名を訴えた八〇代のおばあさん、宗教団体のツアーバスの中で署名を集 めた人。健康生協の組合員さんたちも地域の要になりました。すべての中学校区に会ができ、署名数を競い合いながらがんばる人たちも。
二カ月間で集まったのは目標を大幅に上回る約二万四〇〇〇筆。提出した「保険料値下げ」の請願は、残念ながら市議会では不採択でした。ただ、署名運動は 同市の国保や加入者の実態を知り、健康生協組合員や地域の底力を再認識する機会になりました。
(民医連新聞 第1501号 2011年6月6日)