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民医連新聞

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介護保険法「改正」法案 問題とは? 全日本民医連 介護福祉部 山田智部長に聞く 抜本改正遠い。運動強めよう

 四月五日、介護保険の改正法案(「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」)が国会に上程されました。民医連が求める制度改善の方向性と照らしてどうなのか? 介護福祉部の山田智部長(全日本民医連副会長)に聞きました。

 「高齢者が自立生活を営めるよう、生活支援サービスが切れ目なく提供される『地域包括ケアの実現』に向けてとりくむ」と改正案は掲げました。 
 大きな柱で六点、(1)医療と介護の連携の強化、(2)介護人材の確保とサービスの質の向上、(3)高齢者の住まいの整備、(4)認知症対策の推進、 (5)保険者による主体的なとりくみの推進、(6)保険料の上昇の緩和、をあげています。
 しかし実際は、利用者や家族、介護現場の困難を打開するどころか、介護問題をさらに深刻にする内容。財政を総量規制し(ペイ・アズ・ユー・ゴー原則)、 「介護より財政事情が最優先」が貫かれています。
 主に次のような問題が。
 [予防給付の縮小再編]要支援者向けの介護 予防サービス(予防給付)の縮小再編が打ち出されています。予防給付に、配食など保険外サービスをパックにした事業を新設し、要支援者の一部のケアはこれ に移し替えてよく、その判断も市町村に一任するという内容。地域の介護格差の拡大も心配ですし、国が今以上に介護保障に責任を負わない方向性が問題です。
 ヘルパーの生活援助の制限や打ち切りとも抱き合わせで、軽度者ケアを「安あがりのパッケージ化」するものです。
 [利用者負担拡大の恐れは消えず]昨年一一月の介護保険部会の最終報告に入っていたケアプランの有料化は法案から消えましたが、利用者負担拡大の恐れは残りました。「補足給付(施設入所の低所得者に対する費用軽減)要件の厳格化」、「多床室入所者から居住費を新たに徴収」の案件は継続審議です。
 [新施策も総量規制]二四時間の巡回訪問介護や複合型サービスなどの新規事業、認知症対応などが打ち出されましたが、現場が歓迎する施策も、総量規制で不十分な内容になりかねません。公費負担割合を増やさないのが前提です。
 [介護保険料]都道府県の財政安定化基金を取り崩し、介護保険料の値上げを緩和するとしましたが、介護保険財政に投入する公費を増やすことは見送り。一時しのぎです。
■撤回・改善求めよう
 民医連が求めてきた「利用者負担の軽減」「結果が現実と乖離している介護認定制度の廃止」「支給限度額の撤廃」など、抜本改善にはなりませんでした。
 法案は、六月二二日の会期末までには採択されるスケジュールです。
 介護保険の「新署名」を手に予防給付縮小再編の撤回と、制度の再検証を求める運動を強めましょう。

(民医連新聞 第1499号 2011年5月2日)