フォーカス 私たちの実践 看護奨学生会議の充実はかる 宮崎生協病院 看学生の要望入れミニ学習会 近況報告や「奨学金」手渡し
新学期が始まり、看護奨学生を増やす活動にも力が入る時期です。第一〇回看護介護活動研究交流集会での発表の中から、宮崎生協病 院の「奨学生会議定着に向けたとりくみ~育ちあう看学生活動をめざして~」を紹介します。同院看護学生対策委員会の児玉智子さん(看護師)が発表しまし た。
当院は、一般病床九四床(7対1看護)と障害者施設等一般病棟(10対1看護)を運営しています。看護体制を維持し、より良い看護を実践するためにも看護師の確保が大きな課題です。
当院の看護奨学生は二〇〇九年度が一〇人、一〇年度は五人です。民医連の医療や看護への関心を育て、ともに働き学ぶ仲間として迎えるために、日常からの働きかけと奨学生会議が大切です。
毎月の開催で顔合わせ
奨学生会議は〇八年度までは、年に二~三回の開催でした。また、会議への参加 は半数程度と少なく、看対担当者は奨学生の情報がつかめない状況でした。その背景には、学生がアルバイトや学校の実習などにより多忙で、職員となかなか会 えない事情がありました。日常的なつながりが弱いと、担当者が奨学生にメールをしても返信がない、研修会などの企画にも参加が少ない、といった問題が生じ ていました。
そこで〇九年四月から、奨学生の育成と顔の見える関係づくりをめざして改善しました。まず、奨学生会議を毎月に定例化しました。それに合わせ、奨学金の 支給方法を「振込み」から「手渡し」に変更しました。奨学生会議の日に、本人に渡すことにし、事前に伝え全員から了承を得ました。
参加できない場合には、病院まで取りに来てもらうか、担当者が届けます。こうして月に一回は必ず、担当者と奨学生が顔を合わせるようにしました。
また、奨学生会議の日時は全員が参加しやすい毎月末の土曜日の夕刻に設定しました。午後六時に集合し、まず、奨学生と職員から近況報告をします。その 後、一時間ほどの「ミニ学習会」を行い、七時過ぎから「夕食交流会」を始め、八時に終了という流れです。
手作り夕食で交流
「ミニ学習会」は、民医連への理解を深めてもらうため、民医連綱領や貧困問 題、社会保障制度などをテーマにし、ドキュメンタリー「笑って死ねる病院」の視聴なども企画しました。また学生の希望も取り入れ、AED(自動体外式除細 動器)の使い方やBLS(一次救命措置)について、院内BLS推進委員会の協力で学習しました。これは好評でした。
〇九年度は、宮崎が九沖地協DANS(民医連の看学生ゼミナール)の開催地になっていたため、四~八月の奨学生会議では、現地実行委員会として準備活動 も行いました。その中で奨学生同士が仲良くなっていきました。
夕食交流会で出す食事は、看対スタッフが手作りしています。誕生月を迎えた奨学生がいる月は、ケーキも用意し「誕生会」を行います。これも喜ばれています。
職員が問題意識を共有
奨学生会議に職員は、看対委員一人(交代)と看対事務一人が必ず参加します。ほか、〇九年度は各部署の看護師長が交代で、一〇年度は看護職責者(院内・クリニック含め)も参加しています。
これらの改善で、奨学生会議の参加率は上がり、八~九割になりました。アルバイトなどの関係で早退する奨学生もいますが、顔を見せる機会はぐっと増え、 奨学生の状況がつかめるようになりました。職員と奨学生、奨学生同士の距離も縮まり、仲間意識が強まりました。民医連についての理解も深まったように思い ます。
看対チームの企画力やコミュニケーション力も向上し、看護集団の中に看護師受け入れについての意識が強まりました。今後も、学生の希望を聞きながら、よ い企画づくりと運営を大切にしていきたいと考えています。
(民医連新聞 第1498号 2011年4月18日)