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民医連新聞

民医連新聞

第2回評議員会ひらく いま、転換期 閉塞状態打ち破る主体に

 全日本民医連三九期第二回評議員会が二月一九~二〇日、東京・平和と労働センターで開かれ、全県連から八四人の評議員・予備評議員が参加しました。方針案、二○一〇年度決算・会計監査報告、二○一一年度予算案の各議案を討議し、全会一致で承認しました。

 藤末衛会長があいさつ。「三九回総会方針で『転換期の情勢』を『変革の立場か らとらえよう』と提起したが、世界では中東のように、アメリカ中心の国際秩序からの転換を実感する出来事が起こっている」とのべ、「日本でも、自民党もだ めだが、民主党もだめという政治的体験をいま国民はしている。いまの『地域政党』への期待は、困難を変えたいという声が切実さを極めた結果。しかしその地 域政党も、社会保障や国民生活の問題解決の道を示せない」と指摘しました。
 そして、「総会方針がのべた『傍観者にならず、運動と提案力を高め、連帯、参加、共同の運動の要としての役割を果たす』決意で、政治の迷走・閉塞状態を打ち破る討論を」と呼びかけました。
 長瀬文雄事務局長が方針案を提起。「時代は混迷期ではなく転換期」と情勢認識をのべ、議案が(1)情勢認識と民医連の立ち位置を明確にしていること、 (2)定期総会から一年で方針と新綱領がどう実践され、今後一年の課題は何か、(3)医師問題などの最重点課題、という構成であると説明。議案が出て約一 カ月で多くの県連から意見や要望が寄せられたことも報告しました。

■討論■ 67人が発言

 討論では、各地の実践報告に加え「情勢」「利根問題」「医師問題にどう向かうか」の三題でフリー討論の時間も設定。二日間で文書一一本を含む六七人が発言しました。

情勢打開に向け

 国民健康保険改善にむけたとりくみ、患者の事例から人権を守るたたかいにつなげているなどの経験が交流されました。
 「国保の実態調査を行い、加入者が保険料の負担の重さや受診抑制に苦しむ実情が明らかになった。国保改善を地方選の争点にしたい」(京都、神奈川)、 「国保法四四条の適用を求め、自治体への働きかけをねばり強く行っている」(兵庫)、「ALS患者が介護時間を求め起こした行政訴訟を支援」(和歌山)、 「水俣病の被害者救済に継続して奮闘」(熊本)、「介護職員が『困難事例集』を作り、介護改善を訴える記者会見。反響は市民や福祉関係者のみならず、自治 体職員にも及ぶ」(長野)などです。
 TPP問題では「反対運動で農協などと共同。これを通じて農家の実情を知った」と岩手と福島から。

医師問題

 研修制度見直しで中小病院での医師養成が危機に直面する中、研修の良さを訴え て奮闘する報告(長崎、宮崎)をはじめ、「地協・県連を越え、医大で説明会ひらく」(大阪)など、全国の民医連事業所をフィールドに医師を養成しようとい う「オール民医連」の実践が紹介されました。
 地域医療を守るために民医連外の医師・医療機関との連携もはじまっています。「医師・医学生署名をきっかけに地域医療を考える研究会を発足。山梨をささ える医師を育てようと七病院が参加。地域医療再生基金も申請。民医連が事務局担う」(山梨)、「医師不足で外来診療の維持も困難に。開業医が外来に入るな どの支援を四月から開始する。協力者はのべ二〇人に」(宮崎)。

綱領実践、養成など

 綱領学習・実践では「私と民医連の手記コンクール」(青森)が。「無低診の準備と綱領をセットで学んできた」と報告した千葉は、「公立病院は医療費減免が独自判断で可能と判明、他県でも調べてはどうか」と提案しました。
 「県連自前の事務幹部養成学校を開始。医師をはじめ他職種の協力を得て」(京都)、「看護協会などと連携し、看護フォーラムを二年連続実施」(茨城)な ど、職員育成や看護師確保でも発言がありました。

利根問題

 群馬・利根中央病院への医師支援についても、受け止めなどを議論。このほど法人専務に着任した原田富雄さんがオブザーバー参加し、「全日本民医連からの働きかけを通じ、再生への舵がきられた。地域医療を守るためにもがんばりたい」と現状と決意を語りました。
 支援する側からは利根の問題は他人事ではないという受け止めや、支援に向けて始めている議論の中味などが紹介されました。

 記念講演は経済同友会終身幹事の品川正治さんが「戦争の本当の恐ろしさを知る財界人の直言」と題して。世界情勢や国内問題をクリアに語り「日本が『人間 の眼』を持つ憲法九条のある国らしく変われば、世界情勢も劇的に変わる。私たちはめったにない時期に遭遇している」と。九条・二五条の立場でたたかえば、 社会の閉塞感を打ち破れると確信させる内容でした。
 (「第二回評議員会方針」全文と発言内容は、『民医連資料』三月号に。品川さんの講演は、『民医連医療』五月号に掲載)

(民医連新聞 第1495号 2011年3月7日)