全日本民医連 第19回 精神医療・福祉交流集会ひらく 精神障がい者の地域生活を民医連らしく支えたい―― シンポジウムから
全日本民医連は第一九回精神医療・福祉交流集会を一月二八~二九日に横浜市で開き、全国二〇県連から一三二人が参加しました。民医連らしい精神医療とは何か、学習や交流を通じて深め合う場になりました。
全日本民医連精神医療委員長の松浦健伸医師が基調報告しました。集会の目的は 「一つは『貧困と格差』の現状をつかみ、それがどのようにメンタルヘルスに影響するかを学び、今後の私たちの活動展開を検討すること。もう一つは私たちの 使命を実現するために、各地の実践を交流しあい、連携を強め団結をつくり出すこと」とのべました。
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シンポジウムでは五人のパネリストがこの間の経験や運動について報告。
青森・藤代健生病院の作業療法士、貴田岡(きたおか)武さんは入職して一四年目。デイケアで勤務する中で利用者が地域とつながっていくことが必要と考 え、津軽地域精神障害者社会復帰支援連絡会の発足にかかわりました。地域の施設と連携し学習会や事例検討会などを行い、年に一回障がい者の交流集会も開催 し、つながりを深めています。「障がいがあっても地域の中で生きいきと生活できる支援力の高いコミュニティーをつくりたい」と語りました。
東京・みさと協立病院の看護師、菊地玲子さんは同院の精神科病棟でのとりくみを報告。病棟スタッフが患者宅を訪問し、地域サービスへの橋渡し的役割をす すめています。「一生閉鎖病棟で過ごすことになりそうな重症ケースも、関係者との連携を密にして生活をささえることで、退院が実現できる」と報告しまし た。
岐阜・すこやか診療所の看護師、吉浜恵さんは新設診療所(〇九年開設)に精神科外来を立ち上げる二年余の奮闘を報告しました。外来患者は開設時の月四〇人台から右肩上がりで現在一〇倍近い患者数となっています。
鳥取生協病院の精神科医師、田治米佳世さんは「民医連の精神科のやりがいと未来」と題して、外来医療のほか、最近導入した精神科訪問看護や精神科ショー トケア、集団療法の効果を報告しました。また地域の病院や訪問看護ステーションとともに、「県東部精神科訪問支援ネットワーク(仮称)」準備会を立ち上げ たと報告しました。
岡山・林道倫精神科神経科病院の精神保健福祉士(PSW)、星昌子さんは自身の二五年の仕事をふりかえり「抱え込み、お膳立て、成り代わりの支援」から 「患者とともにつくる支援」に切り替えてきたと報告しました。数十年も入院していた患者へ主体的、能動的になるよう働きかけ、退院を促し、アパート生活が できるまでになったと話しました。
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教育講座は、京都民医連中央病院の北村隆人医師による「精神分析的精神医学入門」、東京・代々木病院の天笠崇医師による「過労自殺問題の最近の動向」、沖縄協同病院の蟻塚亮二医師による「今日のうつ病とそのリハビリテーション」でした。
会場前の廊下ではポスター展示二〇点もあり参加者の興味を引きました。翌日に投票を行い、一位から三位のベストポスター賞が選ばれました。
記念講演の講師は久里浜アルコール症センターの精神科医で、池袋のホームレス支援活動を行うNPO法人「TENOHASI」の代表・森川すいめいさん。テーマは「Homeless~障碍(しょうがい)を抱える~」でした。
(村田洋一記者)
※講演内容は追って紙面で紹介します。
(民医連新聞 第1494号 2011年2月21日)