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民医連新聞

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国保 再生のために (1)窓口負担減免制度 失業世帯にも44条を拡大 ハローワークで制度を周知 北海道旭川市

 社会保障の“要”である国民健康保険(国保)ですが、受診抑制による手遅れや高すぎる保険料、二割を超す滞納者など、「崩壊」と呼んでもおかしくない事態が起きています。国保を再生させるための課題や、改善に向けた各地のとりくみを連載します。

 国保法には、生活が困窮した加入者に医療費の窓口負担を減免する「四四条」があります。しかし、該当条件が厳しかったり、制度が知らされていないため使いにくく、利用者が少ないのが実態です。
 そんな中、北海道の旭川市は減免の対象を失業のために収入が激減した世帯にも拡大するとともに、国保課が制度を知らせる努力を始めました。結果、昨年一 二月までに九一世帯が窓口減免の制度を利用しました。
 同市が四四条の適用要件を拡大したのは昨年四月。申請が認められると、入院、通院、歯科、薬局の医療費が三カ月間免除されます。更新は一度に限り可能で、適用期間は最長六カ月。減免には四点の条件(別項)がありますが、対象を災害に遭った世帯に限定していたこれまでとは明らかに前進しています。市は減免のため、一般会計から二〇〇〇万円を国保財政に繰り入れました。
 減免の拡大には長引く雇用不安や加入世帯の八割が年間所得二〇〇万円以下という地域の実情に加え、民医連や民商などが三〇年以上前から続けてきた国保改善の運動が力になりました。

国保課がチラシを普及

 注目すべきは、同市が制度を市民に知らせる手だてを打っていること。四月と九月に市の広報紙で制度を紹介、共産党市議が議会で要求して制度紹介のチラシ も作られました。チラシは市内の医療機関や調剤薬局、ハローワークなどに置いてあります。ハローワークでは窓口職員が求職相談に来た人たちに制度を紹介し ます。
 民医連の診療所にも、インシュリン治療中で毎月一万円の医療費に悩んでいた失業者が、制度を利用し来院しています。

■負担減免に新基準活用■

 厚生労働省は昨年九月一三日、国保の医療費窓口一部負担金を減額・免除する制度について新基準を通知しました。市町村によっては四四条の要件を定めていないために制度が使えない、という事態も起きていましたが、利用の促進になりそうです。
 新基準は(1)災害や不作、廃業、失業などで生活が著しく困難、(2)入院患者がいる、(3)収入が生活保護基準以下、預貯金が生活保護基準の三カ月以 下の三点で、すべてに該当する世帯を対象に、三カ月を標準として市町村の判断で実施するもの。新基準を満たす場合、自治体負担分の二分の一を国が特別調整 交付金で補てんします。これを上回る減免制度を市町村に求める運動も必要です。

旭川市が提示した減免条件

(1)世帯主が1年以内に事業の休廃止や非自発的失業などにあい収入が著しく減少した、(2)申請月の収入が生活保護世帯の1.2倍以下、(3)世帯全員の預貯金を合算して生活保護基準の3倍以内、(4)過去1年にこの制度を利用していない世帯
※保険料未納があれば対象外。納付誓約を誠実に行っている世帯は対象になる

(民医連新聞 第1493号 2011年2月7日)