介護保険法「改定」を前に ――社会福祉法人専務・事務局長会議ひらく
一月二〇~二一日、全日本民医連は「社会福祉法人専務・事務局長会議」を開き一九県連から約四〇人が参加しました。長瀬文雄事務局長が「新綱領の実践と法人幹部の役割」を講演。
また、「21・老福連」事務局長の正森克也さんが「社会福祉法人をめぐる現状と課題」について講演。
正森さんは「社会福祉の根拠は憲法二五条で、公的責任による国民の権利である」とのべ、「だから、非課税の世帯からは保険料や利用料を取らないのが原 則」と強調しました。また、「介護保険は、保険料や利用料を支払った者に介護を受ける権利が発生するという考え方であり、社会福祉を保険にしてよいのかと いう本質的な疑問は消えない。社会福祉は『生活』を対象にするもので、『介護』はその一部に過ぎないのに、福祉全般が介護だけに矮小化されている」と指摘 しました。さらに、社会福祉法人を解体し、新たに「社会事業法人」をつくるという政府の意図は、社会福祉事業そのものをなくすことではないか、と問題提起 しました。また、老福連は非営利組織ならば加入できるので、民医連事業所もご加入を、と呼びかけました。
指定報告は四つ。生活支援事業の立ち上げ(神奈川・うしおだ)、墨田区でクリニック・訪看・小規模多機能・グループホームの複合施設を立ち上げた経験 (すこやか福祉会)、待機者家族の会の歩み(石川・やすらき)、かりぷ学会のとりくみ(北海道・協立いつくしみの会)です。
基調提案では、情勢として、(1)民主党政権の新自由主義への回帰、(2)今国会での介護保険改定の動き、(3)「地域包括ケア」の閣議決定と予算化の 動き、(4)医療・福祉制度改革の動き、(5)社会福祉法人制度見直しの動きなどをつかみ、介護ウエーブ・高齢者の住宅など新事業への挑戦・後継者育成と 経営改善にとりくもうと提起されました。
分散会では、各地のとりくみなどを交流しました。
(民医連新聞 第1493号 2011年2月7日)