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民医連新聞

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フォーカス 私たちの実践 障がい者夫婦の支援 福岡・くるめ医療生協在宅ケアセンター じょく瘡を改善した福祉用具 自立生活の継続に知恵を絞る

 ぎりぎりの状態で在宅生活を続けている障がい者夫婦を、各種制度や福祉用具を活用して支援した事例について、第一〇回看護介護活動研究交流集会で、くるめ医療生協在宅ケアセンターケアマネジャーの手島安枝さんが報告しました。

 当センターの利用者に、七〇代でともに障がい者の夫婦がいました。妻のAさんは先天性骨端 形成不全症による両下肢の機能全廃とII型糖尿病で、夫も右上下肢麻痺の障がいがあります。二人で懸命に生活する姿を見て、当センターを中心に法人ぐるみ で知恵を絞り、自立を続けられるよう支援しました。
 Aさんは要介護4で、介護保険で訪問入浴(一カ月八回)、訪問介護(一日二回三〇分ずつ)、訪問看護(一・五時間を月に二、三回)を受けていました。一 日中ベッド上で過ごしているため臀部に皮膚炎がありますが、既に介護保険は限度額に達しています。そこで特別訪問看護指示書を使い、月に一四日間の訪問看 護を追加しました。
 ところが、二〇〇八年に国保連合会からAさんが同指示書の要件を満たさないと指摘され、医療保険対応での訪問看護ができなくなりました。
 排泄介助やリハビリを担っていた訪問看護が打ち切られ、皮膚炎が悪化したため、他の制度を探しました。障害者自立支援法を申請した結果、障害程度区分5 に認定され、一カ月一五時間の身体介護を確保することができました。

尿吸引ロボが活躍

 Aさんの臀部の皮膚炎は治まらず、じょく瘡になってしまいました。改めて特別訪問看護指示書を申請し、訪問看護でじょく瘡を手当てしましたが、夜間の排泄介助ができずになかなか治りません。バルーン挿入も検討しましたが、本人が拒否しました。
 なにか良い方法がないかと探したところ、特定福祉用具「尿吸引ロボ ヒューマニー」(ユニ・チャーム製)が見つかりました。同製品はパッドの内蔵セン サーが尿を感知し自動でタンクに吸引するため、夜間の排泄介助がなくても快適に過ごせます。介護保険を利用して同製品を購入、使いはじめるとAさんのじょ く瘡が改善し、夫の身体的、精神的な負担も軽減することができました。
 今回のケースでは、Aさんの主治医のいる診療所と訪問看護ステーション、訪問介護ステーション、当センターがくるめ医療生協という同一法人であったため、連携をとりやすく素早い対応ができました。
 また、医療保険や介護保険にとどまらず、従来はかかわりの薄かった障害者自立支援法を活用することで、サービスの幅を広げることができました。さまざま な工夫で難局を乗り切ってきましたが、高齢化がすすめば在宅での生活が困難になると予想されます。私たちは行政や制度の問題点にも目を向け、Aさん夫婦の ようなケースでも、安心して暮らせるような社会にすべきだと思います。

(民医連新聞 第1492号 2011年1月24日)