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民医連新聞

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きらり看護・ほっと介護 「1人じゃない」を伝える アルコール依存患者の支援 福岡・訪問看護ステーションわかば/林田真由美(看護師)

私たちのステーションは、低所得者向けの団地や日雇い労働者向けアパートなどが多い地域にあります。受け持ち患者約一三〇人のうち五割が独居高齢者、七割が生活保護世帯、二割がアルコール問題を抱えています。
 アルコール依存患者の援助を始めたのは〇八年。きっかけは千鳥橋病院からの相談でした。アルコール外来の患者の孤独死が立て続けにおきたのです。主治医 から「お酒を飲んでいてもいいから受診させてほしい」と生活の見守りを依頼されました。
 「孤独死予備軍を何とかしたい」という思いで訪問を始めると、問題が見えてきました。一つはささえるしくみの薄さ。六割が六五歳以下ですが、特定疾患で はないので介護保険は使えません。食事もとらず泥酔していても週三回の訪問看護しかできません。
 住居も深刻です。電話がなく、自宅に呼びに行って通院に同行しますが、限界があり、遠方に住む人は援助が困難でした。照明は裸電球一つ、昼間も暗く電気 ストーブの光を頼りにバイタルを見たことも。共同トイレ、風呂なし、洗濯機スペースもなく、身体の保清も難しい状態です。生活保護課に転居を相談しても 「飲酒は自己責任」と言われました。
 看護師にも迷いが出ました。看護師が介入して体調が改善するとまた飲酒、そのくり返しで、「飲酒を助けているのでは?」と、やりきれない思いになりました。
 しかし、その悩みはアルコール問題を学ぶことで軽くなりました。アルコール依存症は仕事も家族も健康も失う「喪失の病気」。関わる人が多いほど良いと知りました。
 そういう目で患者さんを見ると、「寂しいけん」と壁のシミに話しかけ、「飲むしかない」という人が、看護師の訪問日には廊下や階段を新聞紙で拭いて待っ ていたり、生活改善の約束は守れないが、努力した跡は確かにあります。訪問看護は無駄でないと思えました。
 制度はないけれど、助っ人が現れました。同じ法人のヘルパーたちからボランティアで週二回、手作りの食事が届くように。友の会の行事にも誘います。患者 さんに「一人ではない」と実感させる関わり方が大切だと実感しました。
 アルコール依存症の患者をささえるには、ネットワークとともに、「生きる」をささえる訪問看護が必要です。今後も試行錯誤しながらやりたいと思います。

(民医連新聞 第1491号 2011年1月3日)