石綿救済法でシンポ =抜本改正求める=
一〇月三〇日「国は基本法制定を! 石綿救済法改正要求シンポジウム」が東京で行われ、全国から六五人が参加しました。
〇六年三月に施行された「石綿による健康被害の救済に関する法律」(石綿救済法)は申請に制約があったり、支給額が労災補償に比べて低く、「補償」には ほど遠いという問題があります。来年三月の法改正に向け、専門家などが公害健康被害補償法(公健法)をモデルに補償されるよう、抜本的な「改正要求」をま とめ、環境省に要請しています。
同シンポは、この要求内容をさらに深める目的で、建築労働者や、じん肺弁護団、医療者などの実行委員会でとりくみました。
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学習講演には、大気汚染や水俣などの公害問題に詳しい大阪市立大学の宮本憲一名誉教授を招き、公健法について学びました。
シンポジストは三人。医師の立場から、仙台錦町診療所・産業医学センターの広瀬俊雄所長、労働組合から全建総連の宮本一さん、そして、じん肺弁連幹事長の山下登司夫弁護士。
広瀬さんは、石綿肺が快復の難しいじん肺の一種であることや、症例の収集・解析の遅れを指摘しつつ、「被災者にはなにより療養の保障が必要」と訴えました。
宮本さんは、建設労働者の石綿被害状況と救済の問題を報告。救済法にもとづく申請数は〇六年の一二四四件以降激減し、〇九年は一三七件。申請に必要なカルテなどの書類が残っていないなど、困難な被害者の存在にもふれました。
山下弁護士は、アスベスト被害多発の原因に、有害と知りつつ、財界の利益を優先し、通算一〇〇〇万トンもの輸入を認め、建材などに利用させてきた政府の 責任を指摘。救済法の抜本改正のためにも泉南国賠訴訟(大阪)の全面解決と、首都圏建設アスベスト訴訟を勝利させたいと表明。
フロアからも活発な意見が飛び交いました。
(民医連新聞 第1488号 2010年11月15日)
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