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民医連新聞

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プルサーマルの危険性を実感 全日本民医連 佐賀で原発核燃集会

 全日本民医連被ばく問題委員会は一〇月九、一〇日、佐賀県唐津市で原発・核燃サイクル問題交流集会を開き、一八県連五〇人が参加 しました。昨年一二月に国内で初めてプルサーマル発電を開始した九州電力「玄海原子力発電所」に隣接する玄海エネルギーパークを見学、プルサーマルの危険 性を学ぶとともに、原発を抱える各県連のとりくみを交流しました。

 日本原子力研究開発機構労組の岩井孝委員長が、「プルサーマルは、なぜやってはいけないの か~政府・電力会社の『必要論』を斬る」と題して記念講演。プルサーマルは使用するMOX(モックス)燃料の製造・運搬・使用・破棄のすべての段階で危険 性があると指摘し、MOX燃料を使った原子炉の制御は不安定になることや、MOX燃料はウラン燃料よりコストが大幅にかかることなどについて詳しく解説し ました。
 岩井さんは「プルサーマルはデメリットがあまりに多く、メリットはほとんどない。たとえ、反原発では一致できなくても、せめてプルサーマルだけは止めさ せる切り口で運動をすすめるべきではないか」と提案しました。
 ナイトセッションでは、地元の玄海原発対策住民会議の坂本洋さんが、四〇年にわたる原発とプルサーマル反対のとりくみを報告しました。

原発抱える県連が報告

 県連からは、生協さくら病院(青森市)の百成公美(どうみききみよし)医師が「六ヶ所村核燃料再処理施設の現状と今後の課題」、浜通り医療生協(福島県 いわき市)の伊東達也理事長が「浜通り医療生協におけるプルサーマル問題のとりくみ」について報告。今年三月にプルサーマル発電を始めた伊方原発を抱える 愛媛県連からは、事務局の和田宰さんがプルサーマル発電反対運動について報告しました。
 集会では、県連レベルで独自の「緊急被曝事故対応マニュアル」を作成することの重要性も確認されました。県内に原発や核燃サイクル施設などがある県連は一三県連ありますが、対応マニュアルを作成した県連はなく、北海道・青森・新潟・静岡が検討中です。
 国のプルサーマル計画によると、二〇一五年までに一六~一八基の原発でプルサーマル発電を実施する予定です。東海村JOC臨界事故のような大規模な被曝事故に備えて、民医連ならではの対応方法を策定することが急がれます。
 集会に参加した長崎大学医学部四年の中里結花さんは、「隣県にプルサーマル発電所があるのに、危機感が足りなかったと反省した。プルサーマルの危険性を 周囲の人たちに伝えたい」。また、鹿児島生協病院の篠原龍太さん(診療放射線技師)は「本県も川内原発を有し、プルサーマルも実施予定です。事故が起きた 際の職員派遣マニュアルを作成したい」と、それぞれ感想を寄せてくれました。

プルサーマル 使用済みの核燃料からプルトニウムを取り出し、それとウラン238を混ぜてMOX燃料を作り、原発(軽水炉)で燃やすこと。プルサーマルという言葉は、「プルトニウム」と「サーマル・リアクター」(軽水炉)をつなげた造語

 (民医連新聞 第1487号 2010年11月1日)