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民医連新聞

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増やせ 医師・看護師・介護職 患者・利用者の負担 減らせ 10・21国民集会

 「社 会保障費を大幅に増やし、医療・介護の拡充を求める10・21国民集会」が一〇月二一日、東京・日比谷野外音楽堂で開かれました。約五〇〇〇人の参加者 は、(1)医療費を先進国(OECD)並みに確保、(2)医師・看護師・介護職員の大幅な増員、(3)患者・利用者負担の軽減、の集会アピールを採択し、 東京駅までパレードしました。
(新井健治記者)

 全日本民医連や全国保険医団体連合会、日本医療福祉生活協同組合連合会など一四団体による 実行委員会が主催。代表して日本医労連の田中千恵子中央執行委員長が「運動が世論をつくり、世論が政治を転換させる。患者さんが安心して受診できる、そう いう時代をつくろうではありませんか」とあいさつ。あいにく小雨の降る肌寒い天候にもかかわらず、熱気のこもった集会になりました。
 参加者は全日本赤十字労働組合の五十嵐真理子さんの音頭で「増やせ」「減らせ」と裏表に書かれた赤と緑の要求カードを頭上高く掲げながら、厚生労働省に 向かって「医師を増やせ」「夜勤を減らせ」「患者負担を減らせ」とシュプレヒコール。
 壇上で全国医師ユニオンの植山直人さんは「三〇数時間にも及ぶ当直は医師と患者の双方にとって危険。国民の安全を守るためにも医師の労働環境改善を」と 呼びかけました。広島市民病院の看護師で、小児科病棟勤務の廣岡奈緒美さんは夜勤体制の改善を実現した運動を紹介。同僚とともに「ええ医療、ええ看護がし たいんじゃあ!」と書かれた鯉のぼりを掲げました。
 「大きな運動を起こせば、介護保険改悪をストップできる」と話したのは介護職の米沢哲さん(東京・すこやか福祉会)。東京ほくと医療生協の臼坂弘子理事 は、地元の集合住宅で熱中症死していた高齢世帯の例をあげ「組合員のネットワークで高齢者の見守りを続けていますが、基本は政治を変えなくてはいけませ ん」と訴えました。
 三年前に乳がんを宣告されたタレントの山田邦子さんも登壇。「こんな私でも再発や転移を心配して泣くこともある。でも、泣くのは生きているからこそ。医 療現場で働く皆さんも、お体に気をつけてがんばってください」と激励しました。
 日本共産党の高橋ちづ子衆議院議員は「一日の労働時間を八時間以内、交代勤務の間隔を一二時間以上に定めた『ILO看護職員条約・勧告』を日本は批准し ていない。皆さんとともに社会保障の拡充を勝ち取りたい」とあいさつしました。
 社民党の阿部知子衆議院議員は「七〇歳以上の患者負担を二割にしようと画策する民主党に怒りがわく」と話しました。
 このほか、民主党、自民党、公明党、国民新党の各政党と、タレントのアグネス・チャンさん、日本歯科医師会、日本看護協会、全国自治体病院協議会のメッセージが読み上げられました。
 集会が終わると、参加者は色とりどりののぼりを手にパレードに出発しました。
 「あずましい(心地よいの方言)医療・介護がしたい」と書かれたゼッケンを胸に行進した青森医労連。「看護師はんをふやしておくれやすぅ」とプラカード を掲げた京都民医連。「せかされて 焦るキモチに 事故のかげ」と看護師の本音を集めた川柳を背中にプリントした千鳥橋病院(福岡市)など、さまざまな工 夫を凝らしていました。


“よい医療・介護したい”

福岡・米の山病院デイサービスの介護福祉士・安永忠史さんは「利用者に寄り添う時間がもっとほしいし、結婚するので給料も上がるといい。介護報酬を上げてほしいです」。
愛媛生協病院の事務長・酒井悦男さんは「小規模でも医師臨床研修病院に引き続き指定されるよう、がんばっていきます」。
京都中央病院の臨床検査技師・西村理恵子さんは「初参加です。集会は活気ありますね。検査室では、患者から医師に話せないつぶやきを聞くことがあります。お金の問題で抗ガン剤治療の心配や検査はしたくないとか。患者が困らないようにしたいです」。
北海道勤医協中央病院の看護師・休(やすみ)七重さんは「24年目ですが、中央集会には初参加。壇上の発言に、現場の忙しさは自分たちだけでなく、全国でも起こっていること」と実感。「自分だけたいへん」ではなく、みんなで変えないと。医師も看護師も増やすことが、患者さんたちのためにもなるんですよね」。
沖縄協同病院看護師の大浜明子さんは「手術が始まると24時間体制で働きづめ。もっと看護師を増やしてほしい」と訴え、知事選での「イハ洋一勝利で新基地建設ノーを」と書かれた横断幕を掲げて集会に参加。

(民医連新聞 第1487号 2010年11月1日)