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民医連新聞

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介護保険10年 私の改善提案 〈その2〉 限度額のためオムツ交換回数も制限 東京葛飾医療生協 居宅介護支援事業所「ほりきり」 萩原佐知子

 一〇年目に入った介護保険。一〇一一年の法改正に向け、介護支援専門員(ケアマネジャー)など支援に携わる専門職から改善への提案を、シリーズで聞きます。

 【事例】Aさん(八〇代女性)。要介護4。夫が四年前に認知症の介護施設に入所してから独居です。生活保護を受給しています。この地域に五〇年以上住んでいるため、施設ではなく自分の家での生活を望んでいます。
 現在はほぼ寝たきり状態のため、トイレまで行くことができません。そのためオムツを使用しています。当初、Aさんは一日五回のオムツ交換を希望していま したが、そうすると利用限度額を相当オーバーしてしまいます。生活保護からは、限度額を超えた分は扶助の対象にならず、自費(一〇割負担)で支払うのは経 済的に困難です。
 そこで限度額の枠内に納めるため、週二回の訪問看護を医療保険にし、月二回は娘に泊まりに来てもらい、入浴は週一回のデイサービスの時に行っています。それでもオムツ交換は一日三回がやっとです。
 当初オムツを当てることに相当抵抗を感じていましたが、自宅で生活したいという思いが強く、我慢して当てています。Aさんは心不全があり利尿剤を使用し ていますが、そのため尿量が多く、時には尿漏れが起こって緊急の電話が入ることがあります。ヘルパーが行けず看護師が駆けつけた時は自費分が発生するので 高額になり、いただけないこともありました。
 夫が入っている施設は千葉県にあるため、遠くてAさんはお見舞いにも行けません。そんなこともあり、「自分は絶対に入所は嫌」と言っています。また、「ヘルパーさんに余裕があれば、車イスで外出したい」「できれば週二回入浴したい」とも希望しています。
 しかし限度額を超えてしまうため応えられません。家族は仕事を終えてから駆けつけています。いまの制度では、結局、本人が我慢するしかないのです。

限度額は廃止か増額すべき

 Aさんはしっかりした人で、制度についての説明も理解しています。人間として「排泄したい時に排泄できる」「外出して自分の好きな物を買い物できる」のは当然だと思います。かなえてあげたいのですが、現在の制度では困難だと思います。
 生活保護を受けている人でも負担や限度額を心配せず安心して介護保険を利用できるように、以下の改善を提案します。
 (1)要介護認定は廃止するか区分を少なく簡素化し、認定審査会などにかかっている費用を節約すべきです。
 (2)限度額を廃止するか、ケアマネが必要と判断してプランを立てた内容を利用できるよう増額してほしい。
 (3)現在は、生活保護受給者が限度額を超えた場合、扶助からは出ない。このようなやり方はなくすべきです。

(民医連新聞 第1481号 2010年8月2日)