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民医連新聞

民医連新聞

体調どうですか? 安心ささえる訪問行動 東京

 全日本民医連が1月に提起した「高齢者の受療権を守るための総訪問行動」が各地でとりくまれています。後期高齢者医療制度などの影響や中断患者さんの実態を把握しながら、職員が地域や共同組織とつながりを深めようとの趣旨です。東京のとりくみを紹介します。

無年金、税金も滞納、店休めない

健友会

 健友会の江古田沼袋診療所(中野区)では四月二一日、職員が糖尿病患者のAさん(67)を訪 問。七年間服薬中ですが、ときどき中断、その度に職員が電話します。この日の訪問で、Aさんは「窓口負担が高い」「仕事が忙しい」と話しました。Aさんは 無年金で、夫婦で飲食店を経営していますが、客が減り、店の賃料は月四〇万円、税金の滞納もあります。腰や膝が痛くても休めず、息子の援助でしのいでいま す。「治療費の月六〇〇〇円が大変。せめて一割負担だったら…」とAさん。職員たちは、中断理由を外来でなかなか聞けていないことに気づき、受療権を守る ため訴えていこうと話し合いました。
 中野共立病院と附属診療所も同日、新人四人を含む一四人で訪問に。中断五人、医療費未納二人、気になる患者三人をリストアップしました。七軒で本人や家 族と話ができました。「スーパーの弁当を数回に分けて食べる」「血圧が二〇〇台だが、足が悪く診療所に行けない。独居で年金もわずか」「家族が仕事で忙し く診察に同行できない」「認知症がある」「パチンコ依存でお金が不安定」など生活の困難がわかりました。「(患者を心配して)訪問してくれる病院ってない ですね」と感謝もされました。
(健友会・塚本晴彦)

メッセージを伝えることが大事

東葛病院

 東葛病院では四月二一日、高齢の中断患者を訪問しました。新入職員の田中瞳さん(栄養士)は、 先輩と七六歳の女性を訪問。リウマチなどで治療中でした。聞くと、「夫が東葛病院で亡くなり、気持ちの上で足が向かない」「今は近くのリウマチの専門医に かかっている」とのこと。病状は落ち着いているとわかり、ひと安心。「病院はどこも混んでいて、ある程度健康でないと病院にも行けない感じがする」との訴 えも。女性は、「足を運んで話を聞いてもらい、良かった」と語りました。
 田中さんは「興味があった地域活動に参加できて良かった。高齢や独居の患者さんには、気にかけているというメッセージを伝えることが大事だと感じた。息 子さんも仕事が忙しく糖尿病の治療中断と聞いたので、専門知識を生かし、食事面からのかかわりを考えていきたい」と話していました。
 リハビリ室では、気になる患者を独自にリストアップ。頸椎損傷で入院していた独居の男性は、経済的理由で介護保険サービスも十分に受けられず、訪問しよ うとした矢先に体調を崩し、入院。加川豊課長は、「リハビリ制限以降、もっと入院が必要なのに退院する事例が増えている。注意深くフォローしていきたい」 と話していました。
(丸山聡子記者)

福祉分野に活動を広げたことに確信

健生会

 健生会(立川市)では四月二三日、一〇人(五組)で、八〇歳以上の人の中断患者・気になる患者を訪問。生活のようすを聴き取り、「後期高齢者医療制度の即時廃止」の署名をお願いしました。この日は一五軒を訪ねました。
 「肺がん、前立腺がんの治療中。三割負担で自分の年金はすっ飛ぶ。妻が働き生活をまかなっている」「高齢の弟の収入で家族三人が暮らす。自宅があるから なんとかなっているが…」「貯金が少なく、蓄えが尽きたら困る」「夫の遺族年金だけでギリギリの暮らし」などの話に、高齢者がガマンして生活しているよう すが伺えました。
 訪問した松崎正人さん(ふれあいクリニック事務長)は「少ない年金での生活の実情がよくわかった。八〇歳を超えた人は修羅場をくぐって懸命に生きてきた と思う。人に世話をかけるのは高齢者の権利だと思うが、社会がそうなっていない現状で、気を使って生きている。一方で、気になっていた患者が、民医連関係 の介護・配食サービスや薬剤師訪問などを使ってがんばっている姿を見て、法人が福祉分野にウイングを伸ばしてきたことに確信をもった。地域に出る機会を大 切にしたい」と話しました。
(小林裕子記者)

(民医連新聞 第1476号 2010年5月24日)