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民医連新聞

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水俣病検診(東海)95%に所見 愛知民医連・協立総合病院 田中 久(神経内科医)

 四月二五日に東海地域では実に二〇年ぶりとなる水俣病集団検診を、愛知・協立総合病院で行いました。今回の検診の呼びかけに対し、八〇人を超える問い合わせがありましたが、体制上全員を受け入れることはできず、当日は四二人の検診を行いました。
 二〇年前の集団検診では十数人の受診にとどまったことを考えると、この間の運動の広がりと情勢の大きな変化を感じます。
 当日は六〇人を超える医療ボランティアが参加しました。その内訳は、医師一〇人、研修医七人、看護師一五人、事務一七人、SW五人、医学生三人、弁護士 三人などでした。愛知・岐阜・三重・静岡県連のみならず、大阪の三宅徹也医師をはじめ、熊本民医連からも多大な協力をいただき、無事に終了することができ ました。

知らされない制度

 今回の受診者は、高度経済成長期の昭和三〇年代後半から四〇年代に、不知火海沿岸地域を離れて東海 地域に集団就職などで移り住んだ人がほとんどです。出身地は熊本県三三人、鹿児島県九人でした。現在の居住地は、愛知県が三三人と多いものの、岐阜県六 人、静岡県、埼玉県、京都府が各一人でした。愛知県では、名古屋市内よりも、三河・知多あるいは尾張一宮地域など、戦後の繊維産業の発展に関連した地域が 多く見られました。
 これまで申請をしなかった理由について問うと、「制度自体を知らなかった」が一七人と最も多く、「機会がなかった」が八人、「知られたくなかった」が四人などでした。

同じ健康被害

 今回の受診者四二人のうち、九五%に水俣病を疑う所見が見られました。このうち一八人が水俣病認定申請を、二四人が保健手帳の申請をしました。
 自覚症状としては、こむら返り九〇%、しびれ九五%、つまずきやすさ五五%、手足が不器用六二%、視覚症状五七%など、いずれも高率にみられました。
 神経学的所見としては、九五%に四肢末梢優位の感覚障害があり、そのうち二一%に全身性感覚障害が見られました。また、七〇%近くに体幹失調があり、二 一%に視野障害を認めました。これらの所見は、昨年九月の水俣病大検診の受診者の解析データや、協立総合病院で過去に行ってきた検診例とほぼ同様の傾向で あり、同じ健康被害を受けた集団であることをうかがわせます。

実態解明は急務

 今回の検診を合わせ、東海地域でこれまで一五〇人程の水俣病検診を行ってきましたが、まだまだ氷山 の一角と思われます。東海地方は、九州からの移住者が関西に次いで多い地域であり、その実態解明は急務です。今後は、第二回の集団検診を開催するととも に、地道な患者掘り起こしを続けていきたいと思います。
  ※ 今後も各地協が、掘り起こし検診を予定しています。

(民医連新聞 第1476号 2010年5月24日)