中小の医師臨研病院存続を 医道審で継続審議 いっそうの働きかけを
中小規模の臨床研修指定病院を除外するのか否か。医道審議会医師臨床研修部会での攻防が続いています。二月三日に開かれた部会で は、激変緩和措置の廃止を求める意見が出されたものの、「中小病院における研修の質についての評価を踏まえて判断すべきだ」との声も複数出され、その方向 で次回に結論を出すことになりました。このほかに、臨床研修病院別や都道府県別の募集定員については二〇一一年度について激変緩和措置を継続することで合 意しました。
二〇〇九年の新医師臨床研修制度見直しで、「年間の新入院患者数三〇〇〇人以下」などの基準が 設定されましたが、多数の反対意見から、「基準を満たしていない病院でも、受け入れ実績などを考慮したうえで指定を取り消すか否かを決める」とするなどの 激変緩和措置が実施されています。この措置を二〇一一年以降も継続するか否かが、部会で議論されてきました。
二月三日の部会では、「三〇〇〇人以下のところでも、プライマリケアや救急をやっていて症例が確保されているのであれば、切る必要があるのか」「どのよ うな研修医が育っているか、内容や制度についての評価がされない限り、三〇〇〇人以下は研修病院として適さないとは言えないのでは」など、措置の継続を求 める意見があい次ぎました。「厚労省が行っている臨床研修制度の評価に関する調査結果などを踏まえ、検討した方がよい」との意見で一致しました。
全国の運動が議論に反映
部会の論議の背景には、民医連をはじめとした全国の医療関係者、行政などからあがった切実な声と運動があります。部会でも複数の委員から、そのことにふれる発言が出されました。
民医連には五七の臨床研修病院がありますが、激変緩和措置が廃止されれば、約三〇の病院が指定取り消しとなります。急性期から回復期、慢性期までを総合 的に診ることのできる中小病院は、貴重な存在です。全日本民医連は、地域の民医連以外の臨床研修病院や地元の医師会、国会議員や行政と積極的に懇談し、制 度の存続を求める運動を呼びかけてきました。
県内二〇の臨床研修病院のうち、半数の一〇施設が取り消しの対象(うち八施設が入院三〇〇〇人未満)となる愛媛県では、愛媛生協病院はじめ九施設が、連 名で県に要望書を提出。指定取り消しを行わないよう厚労省に働きかけるよう求めました。県は、「県としても同じ立場。県内の医師定着を考えると、臨床研修 病院を確保することが重要だ」と回答。民主、自民各党の県連からは、「地域の医療を守るという点では、同じ意見だ」「全国的に活動すべきだ」などの意見が 出されました。
高知生協病院では、研修にかかわる医師がそれぞれ臨床研修部会委員に意見書を送付。中小病院の除外は「臨床研修制度の出発点であるプライマリケアを身に つけた医師を養成する視点から大きく後退する」と警鐘を鳴らしました。
全国各地で国会議員や医師会との懇談、共同が行われました。
新基準は実態に合わない
ひき続き医師臨床研修制度の見直しで決められた「年間新規入院患者三〇〇〇人以下の病院の指定取り消し」が実態に合わないことを訴えていくことが必要です。
(民医連新聞 第1470号 2010年2月15日)
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