メンタルと腰痛予防など重点に 職員の健康守る交流集会ひらく
全日本民医連は「健康で働き続けられる職場づくり」の体制強化や活動交流を行うために、第四回職員の健康を守る交流集会を一月一六~一七日に東京で開きま した。二〇〇三年に始めた交流集会以後のさまざまなとりくみによって民医連職場の職員の健康管理や労働衛生活動は大きく前進してきました。三〇県連から一 一八人の参加がありました。(村田洋一記者)
問題提起を理事の田村昭彦医師(職員の健康管理委員)が行いました。
今集会の目的の第一は、前回に引き続きメンタルヘルス対策です。第二の課題は筋骨格系障害の予防対策の本格的着手です。医療機関で働く人びとの健康につ いては、看護協会や医師会が過労死や過重労働の調査報告を出しています。調査結果を受けて日本医師会は「医師が元気に働くための七カ条」さらに「勤務医の 健康を守る病院七カ条」も発表しています。
さらに、民医連に働く仲間の健康状況と労働安全衛生活動について事前アンケートをもとに報告しました。民医連に働く仲間の疾患では精神神経、筋骨格系、悪性新生物で八割を超えています(〇八年)。
3人が講演
精神科医の松浦健伸さん(職員の健康管理委員)が、前回交流集会の成果と課題やメンタルヘルス対策について、問題提起を補強する講演をしました。
阿部眞雄さんは「健康職場づくり」と題して講演しました。阿部さんは東京で診療所を開業(心療内科)し、労働衛生コンサルタントとして一八カ所の産業医 です。「現在の産業医の仕事は九割がメンタルヘルス関係で、ハラスメントも増えている」と語り、ストレスについて講演しました。
「ストレッサーへの適切な対処法を行えば、心身を良好な状態に保つことができる」とその能力向上の必要性について話しました。
阿部さんは学習の友社から『快適職場のつくり方』を出版しています。
また筋骨格系の予防対策として「北欧に学ぶやさしい介護」をデンマーク在住の小島ブンゴード孝子さんが講演しました。
「デンマークは現在では介護労働者の中に腰痛症の人も腰痛ベルトをしている人もいない。それは働く姿勢や用具の利用がすすんだから。いまはメンタル問題 についてとりくまれている。デンマークでは、高齢者のケアの三原則は(1)自己決定(自分らしく生きる)、(2)継続性(住み慣れた地域でいままでの生活 の継続)、(3)残存機能の活用(生きている限り自分の資源)であり、利用者にも介護者にもやさしいケア、双方にとって楽であることが求められている」と 語りました。ここで紹介された介護用具のスライディングシートが会場で展示され、研修実技編のDVDとともに販売されました。
現場で実践すすむ
指定報告は三つ、北海道勤医協から「心の健康づくり三カ年計画を終えて」。増え続けるメンタル休業 者を法人あげて減少させるために奮闘した三年間の報告でした。大阪・同仁会の「職場復帰プログラムにとりくんで」ではメンタル休業者の職場復帰支援システ ムについて報告されました。滋賀・老健日和の里の「介護職場の健康管理日和の里の実践」では三年前に腰痛者多発の状況を克服し、休業者をなくしてきた経過 が報告されました。
問題提起や調査報告、講演を聞いた後は、八つの分散会で職場での安全衛生活動のとりくみや安全衛生担当者としての課題などについて討論しました。
(民医連新聞 第1469号 2010年2月1日)