「被爆地域広げて」 長崎被爆者らが厚労省に要望
長崎被爆地域拡大連絡会は一二月一五日、厚労省に「爆心地から半径一二キロメートル区域内で被爆したすべての住民に被爆者健康手帳交付を求める要望書」を提出しました。全日本民医連の湯浅健夫事務局次長が同行しました。
長崎では、被爆した場所が国の定める範囲からはずれているため、被爆者と認められず、「被爆者健康手帳」を交付されない人たちがいます。二〇〇二年に始 まった「被爆体験者支援事業」は、指定区域外には「放射線の影響はない」と断定。「医療受給者証」での医療費支給を精神的症状に限定し、がんなどの疾患は 除外しています。
大塚喜美枝さんは一歳のときに爆心地から八キロ地点で被爆。十二年前に大腸がんを患いました。病院では、「胃潰瘍なら精神的影響として支給の対象になる が、大腸がんは対象ではない」と言われ、医療費の補償がありません。「爆心地近くの人と症状は変わらない。安心して治療を受けられるようにしてほしい」と 訴えました。
厚労省は、「半径一二キロ以内で被爆したすべての人に被爆者手帳を」「がんを対象疾病に」などの要望に、「科学的・合理的根拠がない」として拒否する姿勢を示しました。
湯浅次長は、「科学的根拠がないと言うが、患者の苦しみの実態がそれを示している。国の責任で調査すべきだ」と求めました。
(民医連新聞 第1467号 2010年1月4日)
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