キラリ民医連の医療・介護 重度障害の子どもの在宅生活ささえる 長野・上田訪問看護ステーション 松沢育実(看護師)
二四時間ケアが必要な重度障害をもつ小児の在宅生活をささえるには、関係者が連携し、チームでかかわることが大切です。
Aちゃん(3つ)は、父母、兄、弟の五人暮らし。訪問看護は週三回の入浴介助から始まりました。Aちゃんは低体温になりやすく、そうなると免疫力も低下 してしまいます。そこで、小さくなったベビーバスの代わりに、大きめの衣装ケースを使い、発泡スチロールで保温しながら入浴させて、低体温を防いでいま す。
また、母がほかのきょうだいとかかわれるよう、援助を検討しました。二歳上の兄が通う保育園の行事に母親が参加するときは、看護師がAちゃんの見守りを しました。二歳下の弟の出産時には、主治医や地域連携室と連絡をとり、Aちゃんは計画的に入院しました。出産後は、母親の負担軽減のため、Aちゃんととも に弟の沐浴も訪問看護師が行いました。市の支援センターとも連携し、訪問介護サービスを紹介しました。
Aちゃんの状態に変化があるときは主治医に報告し、指示を受けます。いつでも病院に入院できる受け入れ態勢を整え、母親が二四時間いつでも療育相談をできるようにしました。
重視したのは以下の点です。第一に、病状の急変など、緊急時の連絡体制等について家族と話し合い、対応・連絡先のマニュアルを作成しました。
第二に、訪問看護師の知識・技術の確保です。第三に、子どものセルフケアと自己決定する力を高めることです。Aちゃんは意思表示はできませんが、ケアのたびに声をかけ、何をするか理解できるようにしています。
第四に、Aちゃんの成長発達に合わせて、施設や養護学校に通えるよう、情報提供をしています。第五に、長期の介護で家族が孤立しないよう、日常の思いに耳を傾け、感情を表に出せるよう働きかけることです。
第六に、小児の訪問看護が可能なよう、当ステーションの体制を整備することです。Aちゃんの場合、入院中から数度にわたり、病棟を訪問しました。母親や 病棟スタッフと情報を共有し、退院時カンファレンスでは、他職種や家族とともに必要なケアを検討しました。入院時から、訪問看護師がかかわることで、小児 や家族に安心して受け入れてもらえたと思います。
そのほか、大切なのは社会資源の活用です。支援センターの担当者とよく連絡をとり、ヘルパーの通院介助や短期間の見守り、市の保健師の定期訪問などを活用していくことが、安心につながると思います。
(民医連新聞 第1467号 2010年1月4日)
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