沖縄 怒りの島をめぐる 自転車平和リレー 米軍基地いらない
巨大な米軍基地のフェンスを横目に、軽快に走る自転車。揃いの黒いTシャツ、赤いタスキには「自転車平和リレー」の文字が。沖縄 の青年職員を中心に「自転車平和リレー」が二月二八~二九日、行われました。沖縄の青年ジャンボリーと沖縄医療生協労組青年部が主催し、今年で一〇回目。 沖縄本島を回り、米軍基地問題や平和について学びました。普天間(ふてんま)基地の辺野古(へのこ)への移設を阻止できるかどうかの緊迫した情勢の中、例 年以上に熱が入り、約八〇キロメートルをのべ四三人が走破しました。(佐久 功記者)
高江(たかえ) 豊かな森を守りたい
自転車リレーの出発点は高江(たかえ)。新たなヘリパッド(ヘリ離着陸地帯)建設阻止の座り込みが続いています。沖縄県北部・東村(ひがしそん)にある人口一六〇人ほどの小さな集落。「やんばる」と呼ばれる森に囲まれた、自然豊かな地です。
集落を取り囲むように米軍のヘリパッドを六つ建設する計画が持ち上がった二〇〇六年、住民たちは反対の意思を表明しました。国が強引に工事をすすめよう としたため、「ヘリパッドはいらない住民の会」をつくり、座り込みはもう二年半に及びます。米軍のゲート前にテントを設置し、二四時間体制。沖縄民医連 も、座り込み行動やワンコイン募金などを続けています。
説明してくれたのは、阿部小涼(こすず)さん。「(ゲートの)金網の奥がヘリパッドです。普天間基地などからヘリが来て離着陸訓練などを行うので、騒音 がひどい。電柱のオレンジ色の印は、低空飛行で電線を切らないよう注意するため。それほど低く飛びます」。
ヘリパッドを含む「北部訓練場」は、世界で唯一の米軍のジャングル訓練場。ベトナム戦争以来、この地で訓練を受けた部隊が世界各地に出撃していきました。
アメリカでも配備反対の声が上がるほどの欠陥機、最新鋭オスプレイを配備する計画もあります。
国は二〇〇八年一一月、この座り込み行動を「通行妨害」だとして八歳の子どもを含む住民を裁判所に申し立てました。住民運動つぶしです。二〇〇九年一二 月、那覇地裁は会の共同代表の二人だけを「妨害に当たる」としました。住民側は裁判で争う姿勢です。
住民のたたかいを学び、怒りを胸に辺野古に向け出発しました。
辺野古(へのこ) 未来に美ら海残したい
沖縄本島西海岸から東海岸へ抜ける山道を越え、午後三時、名護(なご)市・辺野古の座り込みテ ント前に到着。辺野古は一三年前、日米両政府の合意で普天間基地の移設予定地となりました。以来、「子どもたちに美(ちゅ)ら海を残したい」と、住民たち は座り込みを続け、阻止してきました。全日本民医連も一八回にわたる座り込み支援を行い、各県連も平和ツアーなどを続けています。
テントで、ヘリ基地反対協議会代表委員の安次富(あしとみ)浩さんに話を聞きました。「『普天間基地を返してほしい』は沖縄県民の総意。ここに基地をつ くることも七割以上が反対だ。だから総選挙で自民党は沖縄で誰も当選しなかった。いま沖縄の世論を、もっと民主党につきつけていくことが大事」と語りま す。
今でも近接するキャンプ・シュワブでは海兵隊の上陸訓練やヘリの飛行訓練などが行われており、新基地建設で基地機能の強化が狙われています。
今後のたたかいについて、安次富さんは「私たちがあきらめて旗を降ろしたら、日米政府の思うつぼ。彼らを包囲するような運動が必要です。全国でもこのた たかいに賛同する人たちが動いてくれています。一一月八日の沖縄県民大会の時に、広島でも、名古屋でも街頭でビラをまいた。じわじわと広げることを大事に していきたい」と語りました。
(民医連新聞 第1467号 2010年1月4日)