加害者だった事実受けとめて 第二期平和学校 韓国研修
全日本民医連第二期平和学校は九月一〇~一三日、第二講座として、四日間の「韓国平和研修」を行いました。「日本の加害の歴史について実体験を通じて学習し理解する」「韓国の文化、歴史を学ぶ」「韓国の医療者と交流し、韓国の医療情勢や歴史を学ぶ」ことが目的です。
一日目。江華島(カンファド)の燕尾亭(ヨンミジョン)へ。川(漢江=ハンガン)を挟んで向こう岸の北朝鮮を見ました。こちら側の岸には監視小屋があり、兵士が川に視線を向けていました。目の前にあっても対岸には行けないことに違和感を覚えました。
二日目、緑色病院へ。新型インフルエンザ流行の最中でした。病院スタッフから、韓国の医療事情を聞くことができました。韓国の医療制度は、国民保険管理 公団のもと、地域保険、職業保険、老人保険などがあるものの保険適用になる部分が少なく、自費の割合が高いとのことでした。
「無料低額診療のような制度があるのか」という質問には、「医療保護制度がある」という答えでしたが、審査が非常に厳しく、対象外とされて、医療から切 り離される人びとも多々ある、ということでした。日本も同様ですが、社会保障拡充へ、国の政策転換が急務であると感じました。
三日目は、従軍慰安婦にされたハルモニが暮らすナヌムの家を訪問。歴史館を案内していただいた後、ハルモニたちとお会いすることができました。時間がほとんどありませんでしたが、ハルモニの笑顔が印象的でした。
その後、西大門刑務所歴史館へ。当時のまま保存された獄舎などを見学しました。日本の侵略と弾圧に抵抗して投獄された人びとが受けた精神的・肉体的な痛 みを知りました。見学した後は、顔を上げて、ニコニコ笑顔で街中を歩くことが怖い? 申し訳ない? そんな気持ちになりました。
世界の人びとに届けるために
日本は唯一の被爆国であり、被害者や支援者はその立場から戦争反対をずっと訴えてきています。体験談を聞けば戦争の悲惨さを感じることもできます。多くの日本人は戦争が正しいと考えることが難しいことのように思います。
ただ、被害者としての思いが強いと日本がおこなった残酷な行為が薄れてしまうのではないか。それでは世界の人びとに届くような訴えはできない。なぜなら 日本を加害者として見ている人びとがいるからです。そのことを、韓国研修で学びました。
人は悪く見られたくないし、責められたくないから、好んで加害者の立場で考えたり、反省したりしません。これが今の日本だと思います。加害者だった事実 を受け止めてこそ、日本の戦争反対の訴えは世界に届くのではないかと思いました。(坂口亮祐、全日本民医連事務局)
(民医連新聞 第1462号 2009年10月19日)