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民医連新聞

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薬害根絶デー10周年 民医連の薬剤師がつどう 「肝炎法」制定、一日も早く 薬を厳しく見る“目と構え”を

 薬害エイズ事件の反省から、厚生労働省の前に「薬害根絶の碑」がつくられて一〇年。八月二四日には毎年、薬害の被害者や支援者た ちが「薬害を繰り返すな」と訴えて行動しています。その「薬害根絶デー」を前に二三日、全日本民医連の薬剤師たちがつどいを開きました。翌朝には、銀座マ リオン前で行われた薬害根絶デー実行委員会の宣伝にも参加しました。(小林裕子記者)

「もう、待てない」

 つどいでは、薬害C型肝炎訴訟・東京原告団の代表、浅倉美津子さんが訴えました。「まだ治療を受けられない多くの人びとがいます。一日も早く助けてほしい」。
 浅倉さんは、肝炎が悪化し辛い日々を送りましたが、裁判に立ち上がり、勝訴してインターフェロン治療を受けました。副作用をのりこえ、六カ月でウイルスが陰性化しました。
 薬害肝炎の原告を救済する法律が成立したとき、原告以外の患者を救うため「一般肝炎対策を促進する」との付帯決議も可決され、「肝炎法案」で実現するは ずでした。しかし、国会の解散によって廃案に。三〇万筆集まった署名ももう一度集め直しです。
 ウイルス性肝炎の患者は全国に推定三五〇万人。ウイルスに汚染された血液製剤や、予防注射の器具の使い回しが原因でした。薬害肝炎全国原告団と患者団体 は、「待ったなし」の状況にある仲間のために、新しい国会での肝炎法の成立をめざしています。
 浅倉さんは「DVD[もう、待てない]※を普及し、署名を広げてほしい」と呼びかけました。

薬害は「人災」だ

 片平洌彦(きよひこ)さん(東洋大学教授)が講演し、「民医連の薬剤師は大活躍を」と激励しました。
 片平教授は「社会医薬福祉学」を提唱(社会医学・臨床薬理学・医療福祉論を結合したもの)。その立場から、医薬品が備えるべき条件として「必要性・有効 性・安全性」を挙げました。「必要性」とは「他の手段で治療が可能な場合、あえて使う必要があるか?」と問うことです。
 薬害は、六〇年代「医療機関での長期大量投与」で多発し、八〇年代以降は「治療薬だけでなく造影剤、血液製剤、移植用硬膜、抗ガン剤などでも顕在化し、多様化している」と指摘しました。
 薬害は「人災」。製薬企業と国が「経済」優先でなく、「安全」を優先するよう、医療従事者と国民が被害者を支援していく必要がある、と強調しました。

各地で薬害根絶にとりくむ

 東京の宮地典子さんは「東京・薬害イレッサ三多摩シンポジウムのとりくみ」を報告しました。
 七八七人が死亡したイレッサ、その被告メーカーが「使用される中で薬は育つ」と言っていることを批判。新薬は「仮免許」で使われている、その危険を認識し、議論していきたいと話しました。
 千葉の上條舞衣子さんは「千葉民医連での薬害へのとりくみ」を報告。〇五年に薬害問題委員会をつくり、裁判傍聴や集会・宣伝への参加、薬学生への働きかけ、ニュース発行などをしています。
 京都の中園千春さんは「薬害イレッサ裁判支援へのとりくみ」を報告。イレッサ問題の認知度調査やニュース発行を行っています。
 参加者らは「他の職種に広げるには」「薬学生とともに会をつくりたい」など、今後に向けた意見を出し合いました。
 一〇年経っても薬害は続いています。「薬」は治療に役立つ生理活性をもつ一面、企業利益とかかわる商品という二面性をもつ存在。そのため危険情報が隠さ れたり、許認可で行政との癒着が生じ、薬害の温床になってきました。東久保隆・全日本民医連理事は「薬を厳しく見る『目と構え』をもっていこう。薬害の根 を断つため動いていこう」と呼びかけました。

※ DVDのお問い合わせは、オアシス法律事務所へ
(〇三‐五三六三‐〇一三八)

(民医連新聞 第1460号 2009年9月21日)