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民医連新聞

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「歯科酷書」づくり 歯科署名すすめよう 歯科社保活動交流集会ひらく

 全日本民医連は七月二六日、歯科社保活動交流集会を開き、二一県連・四二事業所から一〇三人が参加しました。目的は、(1)情勢 認識の一致をはかり、(2)事例発表から学び「歯科酷書」づくりを推進し、(3)「保険で良い歯科医療を」の署名活動を交流し達成をめざすことです。

貧困の生なましい実態

 記念講演は、NHK番組「ワーキング・プア」のディレクター板垣淑子さん。二〇〇五年から続く 取材で出会った生なましい実例をあげ、「ごく普通のサラリーマンが些細なきっかけでホームレスまで転落し、はい上がれない社会は異常で、『自分の責任』と 責めることはできない」と語りました。「孤独死」を嫌がって単身の生活保護受給者に部屋を貸さない家主のこと、「死亡した親の年金詐取事件」の背景に介護 離職や失業があること、子捨て・子殺し・自殺・売春など社会の荒廃をあげ、「報道を通じて問題提起を続けたい」とのべました。
 江原雅博・歯科部長が今後の重点課題を提案しました。(1)二〇一〇年診療報酬改定に向け運動を強める、(2)10・8(入れ歯デー)までに署名一〇万 筆をやりきる、(3)「歯科酷書」を完成させ、社会や歯科医療の問題を訴える、などです。

「歯科酷書」づくり

 「歯科酷書」について庄司聖さん(島根・塩冶(えんや)歯科診療所、歯科医師)が報告。事例の 社会背景を掘り下げ、歯科の現状を訴え、自ら行動し改善につなげることが目的。各医療機関や班会で活用し、社会や学会に問題提起する予定です。現在、二八 事業所から四四事例が集まり目標の四分の一に到達しました。すべての歯科事業所に八月末までの提出を呼びかけました。
 七事例が発表されました。「障害者で受診の機会がなく歯周病が悪化」「路上生活から自立支援センターに。就職の面接で困るので歯を治したい」「定時制に 通いながらバイト、治療にかけるお金がなくて中断を繰り返す」「朝六時から夜一一時までの勤務で歯を治せなかった。リストラされてやっと受診できたが、生 活は苦しい」「五〇〇円が払えない」「良性腫瘍のエナメル上皮腫を放置、顎が異常に腫れた」など厳しいものでした。

署名すすめる工夫

 活動交流では「署名の推進」について工夫や決意が出されました。「カルテに用紙をはさみ、必ず声をかける」「待合室に回収箱を置く」「地域を訪問する」など忙しい中で奮闘しています。「学んで、がんばりたい」の発言も出されました。
 また、各地の「派遣村」の歯科検診が報告されました。どこでも相談数は「予想以上」。広島の歯科医師は「生活困難で放置していた歯が治せると、人間らしさを取り戻せるのでは」と発言しました。
 小崎哲歯科医師(理事)がまとめの発言。「国民生活を破壊した自公政権を変えよう。政権交代だけでなく中身を変えよう。望むだけでは変わらない。オレンジビラを読んで行動しよう」とのべました。

(民医連新聞 第1458号 2009年8月17日)