第8回平和活動交流集会 戦争の真実学び伝え 鉛筆は夢を描くもの 銃は夢を奪うもの
「命を守る医療従事者として、戦争する国になる流れを止めたい」。五月二二~二四日の三日間、長野県で開いた第八回平和活動交流集会には三四県連から一一六人が参加しました。(丸山聡子記者)
参加者は、各県連や事業所で平和のとりくみを担っていたり、広げたいと思っている職員たち。集会では、「九条の会」事務局長の小森陽一さんの記念講演「危機の中でこそ九条の思想を」で学び、松代大本営跡地や「無言館」を見学して戦争の実相に触れ、経験も交流しました。
無言館で
二日目のフィールドワークで向かったのは、「無言館」。芸術家をめざしながら、絵筆を銃に持ち 替えて戦場へ向かわざるを得なかった青年たちの絵を展示しています。「この絵の具を使い切ってから征きたい」との言葉が添えられた作品や、出征前夜、明け 方までかかって描き上げられた自画像…。
丸山祥さん(山梨・巨摩共立病院、OT)は、「平和活動をもっと広げるヒントを学びたい」と参加しました。「平和でないと、やりたいことを思う存分でき ない。無念さを感じた」といいます。「リハビリも日数制限され、社会や政治の影響は避けられない。医療も平和でないとできない。バリアフリーな社会と平和 な社会をつくることは同じこと」。
松代大本営で
次に向かったのは松代大本営の地下壕跡地です。戦争末期、天皇と軍最高司令部を東京から移し、 本土決戦に備えようと計画したものです。約一年で掘られた地下壕は全長五九〇〇メートル。うち五〇〇メートルが公開されています。削岩機で掘った跡がいま も残っています。極秘ですすめられた計画の全容はいまだ明らかになっていません。「松代大本営の保存をすすめる会」の北原高子さんは、「完成まで時間を稼 ぐため、沖縄は捨て石にされ、地上戦で約二〇万人が亡くなりました。沖縄と松代の歴史はつながっています」と語ります。
食い入るように見学していたのは、武内美和子さん(兵庫・東神戸病院、事務)です。「歴史の事実を多くの人は知らない。知ることのできた自分が何もしな くていいのだろうか。テレビの報道だけでは、九条が変わるのも仕方ないと思わされてしまう。世界の平和を実現するためにも、九条を守ることの大切さが、こ の集会ですっきりと胸に落ちました」。
ともに活動ひろげよう
三日目には、一一の県連が活動を報告しました。三・一ビキニデーに向けてピーチャリにとりくん だ静岡、四年間、「九条の会」を続けている愛知、平和アクションプランを策定した福岡、韓国での平和研修を実施した大阪など。会場からは、「どうやった ら、若い職員に関心をもってもらえるか?」「続けていくコツは?」など、活発な質問があい次ぎました。
集会初日に、「戦争は命をもっとも粗末にする行為で、民医連がめざす『命を大切にし、連帯して助け合う』世界の対局にあります。平和と憲法を守り、国民 の医療・福祉への要求、権利の実現のために、多くの医療関係者と力を合わせよう」と呼びかけた岸本啓介・反核平和委員長。「民医連には仲間がいる。いっ しょに学び、活動を広げよう」とまとめました。
(民医連新聞 第1454号 2009年6月15日)