鹿児島の地域医療再生へ 「Dr.コトー」も署名呼びかけ人に
県社会保障推進協議会(県社保協)と県民医連、市社保協、県保険医協会は、四月一八日、「かごしまの医療を考える集いII」を開きました。二三〇人が参加し、赤穂市民病院院長の邉見(へんみ)公雄さんの講演に笑い、共感し、元気と勇気をもらいました。
鹿児島の地域医療も、医師不足の中で厳しい状況が続いています。開催にあたっては、打開の道を考えようと、県立病院をはじめ市立病院など地域の病院に呼びかけました。
記念講演で、邉見公雄さんは深刻な医療の状況を生んだ「低医療費政策」を批判しながらも、地域の人たちと病院の職員がいっしょに立ち向かう中で、良い方 向を見出そうとする赤穂市民病院のとりくみを紹介しました。ユーモアたっぷりの楽しい話の中に、鋭い問題指摘が多くありました。
地域医療再生を考える
シンポジウムのテーマは「地域が求める医療とは、鹿児島の地域医療再生を考える」。県立北薩病 院長の高橋浩一さん、出水市総合医療センター長の瀬戸弘さん、県の保健福祉部医療制度改革推進室長の中俣和幸さん、そして邉見さんがパネリストでした。そ れぞれ、地域医療の中で果たしている役割をのべ、問題意識を語りました。公的な中核病院の窮状も率直に出されました。県内の医師数が足りず、厚労省が今回 出した「研修制度見直し案」を県も危惧していることも明らかになりました。
地域の中で医師を育てる
そして、医療従事者と行政、地域住民がともに医療を考えていくことの大切さが浮かび上がりました。また、地域の中で医師を育てることの大切さも語られました。
参加者のうち、民医連関係者は約一二〇人。他の医療機関や市民などが約一一〇人でした。そのうち自治体病院関係者が二二人、医師会病院や開業医一八人、大学病院二人、医学生もいました。
医師の参加は五七人で、中には「Dr.コトー」のモデルになった下甑手打(しもこしきてうち)診療所の所長、瀬戸上健二郎先生も来場し、署名の「呼びかけ人」になってくれました。
笑顔は良性の感染症
参加者の感想を紹介します。「邉見先生の、笑顔は良性の感染症という言葉が印象に残った」「邉見先生はまるで現代の野武士のようで、明るい赤ひげDr. のよう」「人が財産、の考えで住民ボランティアと医師後継者づくりをしている。医師としての志の高さを感じた」「現状のようになった責任は政治や行政にあ ると思う」などでした。パネリストの話や講演から、県内医療の地域格差のようすもわかったという声もありました。
署名呼びかけ人広がる
集いの後、「医師医学生署名をすすめるかごしまの会呼びかけ人集会」を開き、三七人が参加しました。そこでは、県民、医療機関への「かごしまアピール」を確認しました。「呼びかけ人」は集い以降も増え、現在五六人まで広がっています。
鹿大臨床研修センターの加治副所長は「大学の医師も体制が厳しく疲弊している状況だが、もっと学生に夢や希望を語ることが大事」と話し、国立指宿病院の 田中院長や保険医協会の高岡会長からも、厳しい中でも住民の医療を守る決意やオール鹿児島での医師養成への期待が出されました。(県連事務局次長 岩切陽 一)
(民医連新聞 第1452号 2009年5月18日)