宝の海に戦争基地許さない 全日本民医連 沖縄・辺野古(へのこ)支援連帯行動
「こんなきれいな海と空を破壊して基地をつくるなんて、納得できない」。二〇代の職員たちがつぶやきます。六二人が参加した全日 本民医連の第一七次辺野古支援連帯行動(四月一〇~一二日)。沖縄の軍事基地の実態を目の当たりにし、「日常的に基地の被害にさらされ、米軍の戦争戦略に 巻き込まれる沖縄の現実は、私たちの問題」との思いを強くしました。また、第一五次行動中の事故で亡くなった故・束原進副会長の一周忌の四月一二日、全員 で黙悼しました。(丸山聡子記者)
▼なんでやの…
真っ青な空に白い砂浜。それを分断するように鉄条網が横たわります。その先には監視カメラが。
「向こうには行けないんやな」「米軍の土地だって言ってたね」「なんでやの!」「ここは日本なのに」。日当瀬睦(ひなたぜちか)さん=兵庫・看護師・入 職二年目=と佐野希さん=山梨・事務・入職二年目=が、怒ったように声をあげました。
沖縄北部の名護市。多様な動植物が生息する森と、ジュゴンも住む豊かな海に抱かれています。この海を破壊し、日米両政府は新基地を建設しようとしていま す。一九九六年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)で合意した普天間(ふてんま)基地返還との「引き替え」です。地元の人たちは「宝の海を戦争 基地にはさせない」と立ち上がり、〇四年から二四時間体制で座り込みをしています。この日は一八一九日目。国は、くい一本打つことができません。
「ありえへん」と繰り返す日当瀬さん。「初めて戦争を身近に感じた。怖い」。米兵が暮らす宿舎や娯楽施設まで日本の税金でできていることも知りました。 「何億円、何兆円って、考えられへん。病院では一円でも節約してるし、医療費に苦労するお年寄りもいてるのに…」と悔しがります。「こんな税金の使い方は 許せない。自分とつながってるってわかった」
▼基地強化は許さない
米軍のグアム新基地建設に日本の税金二七〇〇億円をつぎ込む「グアム移転協定」を、自民・公明 の与党は今国会で強行しようとしています。問題なのは、協定が辺野古の新基地建設と一体であることです。米軍は沖縄の基地機能をさらに強化し、グアムやハ ワイの基地と連携する戦争基地として拡大する計画です。ヘリ基地反対協議会代表委員の大西照雄さんは、「辺野古の座り込みは、世界の平和を守るたたかいと つながっている」と話しました。
国は四月一日、新基地の環境アセス「準備書」を県に提出しました。二〇一四年の新基地完成の計画に間に合わせるように、調査はわずか一年、「サンゴや ジュゴンへの影響はなし」という結論へ導こうとするものです。環境保護団体や学者らが抗議しています。
市の中心部に普天間基地がある宜野湾(ぎのわん)市では、伊波洋一市長が迎えました。戦闘機の飛来や深夜の飛行訓練が増加していること、騒音や墜落の危 険、土壌汚染などに住民が常にさらされていることを報告。話の間も、離発着訓練を繰り返す戦闘機が頭上を飛びます。五分間隔で二機が飛ぶため、二分半に一 度の爆音。参加者は、不安そうに何度も空を見上げました。
▼できることがある
沖縄戦で二人に一人が命を落とした南部も歩きました。ガマ(洞窟)の野戦病院で医療に携わり、軍に見捨てられて絶命した「ひめゆり部隊」の記念館では、生き残ったおばぁの証言も聞きました。
「切ない」とうつむいたのは前川佳子さん=愛知=。四月に事務として入職したばかり。沖縄戦の歴史も基地を抱える沖縄の現実も、自分が知らなかったこと に衝撃を受けました。「戦争はしない。軍も兵器も持たない」と決めた憲法を持つ日本。けれど、基地の中にあって被害にさらされる沖縄。前川さんは矛盾を感 じています。
「沖縄の人は日本政府に嘘をつかれているのと同じ。自分も憲法を変えようとする動きを阻止する力になりたい」。同僚の松森香名さんが続けます。「自分にもできることがあると知りました。学んだことを誰かに伝えたい」。
(民医連新聞 第1451号 2009年5月4日)