職も家も失いたどりついた相談会 「あたたかい食事久しぶり」 各地で
年度末の三月。「『派遣村』のようなとりくみを私たちの地域でも!」と、全国各地で「命を守る」活動が広がりました。相談会や炊き出し、生活保護申請同行 など、各県民医連も協力、ボランティアに参加した職員も多数でした。準備の中で地元商店街やハローワークなどとの連携も始まっています。
埼 玉
緊急入院した人も
「反貧困 駆け込み大相談会さいたま」(三月二一、二二日に開催)には、受付前から約二〇人 が並びました。労働と生活、健康、女性の三つの相談コーナーを訪れた人は二二七人。健康相談にきた六九人のうち、派遣切りなどで仕事がない人が三二人、住 まいがない人が二二人と、いずれも深刻な状況でした。
医療生協さいたま・埼玉民医連からは一〇一人がボランティアで参加。看護学生や医学生が、医師の隣で懸命に相談内容を書き留める姿も見られました。路上 生活をしていた男性は、マスクをもらい、うれしそうな顔でテントの設営を手伝っていました。
無保険の人も多く
目立ったのは、一二人が無保険だったことです。多重債務を抱え、車中生活をしていたという三九歳の男性は、右下肢蜂窩織炎と診断され、埼玉協同病院へ搬送・入院しました。所持金はわずか八〇〇円でした。
相談会の翌日には、六〇人が、弁護士や支援者とともに生活保護の集団申請をしました。
和歌山
市保護課が臨時開所
和歌山県では三月二〇日、「生きるためのなんでも相談村」を開村しました。ホームレス支援をしているNPOや労働組合、弁護士団体など一二団体で実行委員会を結成。民医連・医療生協からも医師三人を含む二〇人が参加し、健康チェックと健康相談をしました。
当日は祝日にもかかわらず、和歌山市生活保護課が窓口を開けて対応。受付を始めてしばらくすると生活保護の申請希望者が集まり、集団で出発しました。
新聞が取材にくるなど注目度も大。一方で、雰囲気に気押され、相談を尻込みしていた親子も。女性職員が「健康チェックはどうですか?」と声をかけると、ようやく相談コーナーにやってきました。
知的障害がある長男とその母親は、路上生活をしてきました。次男は自立支援施設に入居中とのこと。「コンビニで捨てられていた新聞を読み、相談会を知っ た。以前生活保護の相談に行ったこともあるが、申請を認めてもらえなかった」とぽつりぽつり話しました。
この親子も生活保護を再申請しました。
北海道
胸痛あるがお金ない
三月二四日に札幌市東区SOSネットワークが無料相談会と炊き出しをしました。事前にハローワーク前で宣伝したり、ネットカフェに申し入れるなど、準備を重ねてきました。当日は三五人が訪れ、中央病院の看護師やソーシャルワーカーが相談に応じました。
医療相談にきた人の中には血圧が一九〇を超えていたため、すぐに職員が同行して中央病院にかかるケースもありました。「ハローワークに仕事を探しに行っ た時にもらった」と、チラシを握りしめてきた人も。「胸痛があるけど、お金がなくて病院にかかれない。仕事もない」と訴え、すぐに中央病院の相談室に連絡 し、受診となりました。
炊き出しのコーナーも盛況。「食べさせてー」とまっすぐ向かう人、「温かい手作りの食事は何年かぶり」と喜ぶ人もいました。
(民医連新聞 第1450号 2009年4月20日)