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民医連新聞

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高齢者の権利かかげて(8) 保険料滞納者は推定17万 資格書出させない運動を

 保団連は、後期高齢者医療制度の「保険料の滞納者」数を調査し、全国に推定一七万人と発表。そして、この人たちが資格証明書(窓口で一〇割の支払いが必要)にされ、受診機会を奪われる懸念を表明しました。
 調査方法は、〇八年一一月末~一二月末、各都道府県の保険医協会・保険医会を通じて全国五八七自治体(二七都府県)にアンケートし、七~九月分のデータを求めたものです。
 集計した結果、保険料が「普通徴収」になっている人の約一割が滞納していることがわかりました。全国で「普通徴収」の人はおよそ二〇〇万人です。
 「普通徴収」とは、無年金や年金額が年間一八万円以下、または介護と医療の保険料の合計が年金額の半分を超え、年金天引きの対象にならない人です。
 旧老人保健制度では、老人保健の対象者には資格書を交付しないことになっていました。
 後期高齢者医療制度では原則、滞納が一年間続くと、「被保険者資格証明書」(資格書)が発行されます。これは、制度から低所得者を排除することにつながります。受診を阻害し、高齢者の命を脅かすことは明らかです。
 今後、広域連合によっては、資格証明書を交付する前に、督促状を発送したり、有効期限の短い保険証(短期証)への切り替えが予想されます。

広域連合や市町村に申し入れ

 この問題について、中央社保協の相野谷安孝さん(事務局次長)は「各広域連合とともに市町村に対し、資格書の発行をやめるよう働きかけを急ぐ必要がある」と呼びかけています。
 二月三日、大阪社保協は、大阪府後期高齢者医療広域連合事務局と懇談しました。
 大阪府では、昨年七月時点で普通徴収のうち約二万人が滞納し、収納率は九四・二%でした。そして収納率は月を追って低くなり、九三・一%(八月)、九〇・五%(九月)八八・八%(一〇月)という状況です。
 同社保協は「何らかの病気や障害をかかえ、認知機能も衰えている高齢者に制裁をあたえたり、悪質扱いするのはもってのほか」と、資格書発行を止めるよう要請書を提出しました。
 山口県社保協は、一月六~八日に自治体キャラバンを行いました。そこでは、後期高齢者医療制度の保険料滞納者に資格書を発行しないこと、滞納者を訪問するなどきめ細かい対応をすることも求めました。
 これに参加した山口民医連の菖蒲順一郎事務局長は次のように語ります。「私が回ったのは、比較的小さな自治体だったが、そこは国保料の滞納者にもほとん ど資格書を出しておらず、後期高齢者の滞納者にも担当者が訪問して事情を聞いたり説明して対応したという。むしろ大きな自治体が、機械的な資格書発行をす る恐れがあり、このとりくみが大事だ」。

(民医連新聞 第1446号 2009年2月16日)