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民医連新聞

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「医師から声あげよう」 県内に賛同広がり、講演会に650人 富山

 二〇〇八年一二月一四日、富山県民公開講演会「医療崩壊はこうすれば防げる」を開催、六五〇人が参加しました。本田宏さんの講演を聴き、医師たちも率直に意見をのべ、市民に訴えました。

入浴中も電話を放せず

 講演会では、会場から生々しい発言が。クリニック勤務医は「産婦人科医だが、三年前に燃え尽き て病院を辞めた。その時、もし本田先生の講演を聞いていれば辞めなかったかもしれない。産科の現場はすさまじい。産科のオペは一人ではできないが、当直医 は一人。一人もいない所もある。呼び出しに応じるため、携帯電話は入浴中も濡らさないように持ち、枕元に必ず置いて寝るという緊張した日々を送ってきた。 精一杯やっても失敗すると逮捕される。医者を辞めさせないため、次の世代をつくるため、医師は団結しなければならない」と話しました。
 大学病院に勤務する外科医は、「本田先生は、私たちの思いを言葉にしてくれた。医療者は患者さんのために良い医療をし、期待に応えたいという気持ちを常 にもっている。でも自分たちの状況を言うと、医師が身を守ろうとしていると受け取られるので、言えなかったと思う。国のやり方を変える力は国民にある。私 たちは情報発信していこう」と発言しました。

県内の医療団体がまとまる

 本会は実行委員会が主催し、県医師会、富山大学医学部、県保険医協会、県公的病院長協議会、全日本病院協会富山県支部が協賛、県や県議会他三二の団体が後援する、県ぐるみの会になりました。
 当初、当県連と県保険医協会が主体でしたが、同時にとりくんだ医師・医学生署名の呼びかけ人に前記五団体がなり、講演会のとりくみにつながりました。

現場の声で政治変えよう

 署名呼びかけ人代表でもある泉良平さん(県公的病院長協議会会長・富山市民病院長)は「県内の医療団体が思いを一つにし、市民とも大同団結して医療を守ろう。これまで医師はサイレント・マジョリティ(沈黙の多数者)だったが、声をあげて医療を守ろう」と開会あいさつ。
 本田医師は、世界のデータと日本の実態を示し、日本の医療費と医師は少なく、長時間労働を強いられ医療現場が疲弊・崩壊していると指摘。ナイチンゲール の言葉「犠牲のない献身こそ真の医療につながる」を引き、医療者に犠牲を強いる政治を告発しました。
 そして、政治家を選ぶ国民の責任を考え、情報操作されず立ち上がろう、医療現場から事実を訴えようと話しました。
 県医師会長の福田孜さんも、二五年間にわたる医療費削減政策を批判。富山大学医学部の井上博さんは「大学では教育、研究に従事する医師も減っている」と、将来の医療を危惧しました。

* *

 本田医師は、まとめの発言で「今日のように医療界がまとまった会は初めて」と激励しました。
 本会のアピールは、医学生が読み上げました。帰りがけ、組合員さんの一人は、「医者は儲けているわけじゃない。大変なことが良くわかった」と。市民とも分かり合える内容でした。
 当県での医師署名も、七三一筆、県内医師の約二七%に到達しました。(富山民医連・青山美春

(民医連新聞 第1444号 2009年1月19日)