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民医連新聞

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近畿12・23シンポ “いま政治を変えるとき” 医療・介護再生めざし1000人つどう 公的医療費の拡大が再生の一歩

 一二月二三日、京都市内で全日本民医連・近畿地方協議会が主催した「崩壊の危機にある日本の医療・介護の再生を 12・23シン ポジウム」が行われました。会場には多くの医師や医療従事者、医学生、市民など、一〇〇〇人以上が参加。パネリストは、それぞれの立場から医療・介護の再 生に必要な対策をのべ、フロアからの質問にも答えました。(横山 健記者)

英国は医学部定員1.6倍化

 会場には、八〇人以上の医師など、参加者数は予想をはるかに超えるものでした。ホールには立ち見、第二会場も満杯になるなど、熱心な議論に多くの人が聞き入りました。
 記念講演は、日本福祉大学・社会福祉学部教授の近藤克則さん。九〇年代に医療崩壊を経験したイギリスから学ぼうと訴えました。
 イギリスは新自由主義経済をすすめ、医療費を抑制した結果、入院待ちが一三〇万人、患者による医療従事者への暴力が九万五〇〇〇件(〇一年)、医師の自 殺は他職種の二倍にのぼり、公的医療費の割合も先進国で最低でした。
 行き詰まりの中の選挙で、与党が敗北、医療費増と医師増員を掲げたブレア政権が誕生しました。現在、公的医療費一・五倍、医学部定員が三九七二人から六 三二六人(五九%増)になり、公的医療費の割合は日本を抜きました。
 いま日本は、アメリカと同じく「社会保障費を減らし、自己負担を増やす医療費抑制」をすすめています。そのアメリカでは、高い自己負担のせいで、病気に なったとたんに生活が破綻。破産が激増し、公的扶助を受ける人が増え、公的医療費の割合が高くなっています。

国民と対話すすめ

 近藤さんは「医療崩壊の原因が、低医療費政策なのは間違いない。危機を脱するためには公的医療 費の拡大が必要。軍事費、公共事業などの税金の使い方をあらため、社会保障を充実させなければならない。政治や政策の転換を求めるためにも、国民と対話を すすめることが何より重要」と語りました。

憲法25条が大切

 シンポジウムでは、四人のパネリストが医療・福祉・介護の問題点や再生の提案を行いました。
 本田宏さんは「日本の医療費と医師数は、先進国の中で最低レベル。医師や医療者の犠牲的な働きで成り立っている。多くの人と対話を広げ、政治の流れを変えよう」。
 全国自治体病院協議会会長の邉見公雄さんは「政府の公立病院改革には、住民や職員の視点がなく、財政問題だけを議論している。地域医療を守るには、公的 医療費の拡大が不可欠。私たちも地域に必要とされる病院づくりが求められている」。
 立教大学コミュニティ福祉学部教授の服部万里子さんは「独居と老夫妻世帯で五〇%を超え、在宅介護が難しくなっている。介護保険を安心して使える社会保障制度に変えよう」と介護保険法の改正の必要性を訴えました。
 また京都民医連中央病院長の吉中丈志さんは、民医連の『再生プラン』を紹介。「失業などで生活が不安定になれば、病気が増える。憲法二五条が重要」と語りました。
 最後に京都民医連会長の尾崎望さんが「次期衆議院選挙では、医療と介護を守る政治家に一票を投じてほしい」と参加者に訴えました。

(民医連新聞 第1444号 2009年1月19日)