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民医連新聞

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駆け歩きレポート(28) 女性医師が元気で働くために 長野・女性医師の会

 医師不足の中で、女性医師が働き続けられる条件づくりも課題です。女性医師たちが励まし合って仕事を続けられるように、という願 いから「女性医師の会」を設けている県連や事業所があります。その一つ、長野県民医連「女性医師の会」の例会を一一月二日に訪ねました。(小林裕子記者)

楽しくて元気になる

 「おお、お腹が大きくなったね」「元気だった?」「よく参加できたね」。交わす言葉にいたわりが見えます。というのは、一一月の例会に集まった医師六人のうち、二人が出産を控えていました。
 赤ちゃんの誕生は楽しみ。喜び合う中、育児と仕事をどう折り合わせていくか、話題は早くも真剣なものになっていきました。
 長野県民医連には女性医師が一五人います(〇八年末)。「女性医師の会」は、年四回ほど例会を開き、議題のほか、近況を話し合い、おしゃべり、相談も。 約一五年続けています。長野市や松本市、飯田市など働く場所は離れ、全員が集まるのは困難。それでも「出れば楽しく元気になれる」機会です。
 会の発足は、信州大学で学生向けに実施した「女性医師と語ろう」という企画がきっかけ。協力した民医連の女性医師が「引き続き集まろう」と、つくりました。
 中心は、会長の鈴木直美さん(松本協立病院、小児科医・九三年卒)をはじめ、当時、研修医だった山本ひとみさん(健和会病院・内科)と木下真理子さん(諏訪共立在宅支援診療所・所長)。いまは後輩医師の相談役です。
 この日の会議は、奨学生の獲得状況報告から。「奨学生が増えてよかった」「信州大に長野在籍の奨学生がもっとほしいね」などの意見を交換し、議題は「女性が働きやすい職場」の提言づくりへ。
 「医師不足だから、出産後に早く復帰するためにも、働きやすい環境づくりが必要よね」と前田実穂子さん(松本協立病院・内科医)。「院内保育園は、いつ なくなったの?」という質問に「六年ほど前だったと思う」と鈴木さん。三人の子がいて、一番下の息子さんは二歳七カ月です。
 院内保育園は、利用者の減少や経営上の困難から、地域保育園への移管や統合が、各地で起きている現状です。行政の支援が求められるところです。

キャリア積みたい

 冨田礼花さん(松本協立病院・外科医)は、数週間後に出産予定です。「育休は取りたい」と思う一方、「産休育休中に、オペの感触を忘れないようにしたい」という思いも強くあります。
 中村奈津子さん(松本協立病院・内科医)も出産まで数カ月の身。やはり「キャリアを途切れさせたくない」と話します。出産・育児をしながら医師としても成長したいという、当然で切実な思いです。

男性も女性も働きやすく

 松村真生子さん(長野中央病院・内科医)と冨田さんが研修先で知り、病院で提案したいのは「一人主治医制」に替わる「チーム主治医制」。「チームで診ます」と患者の理解を得て、四人くらいのチームを組むのが理想です。
 また「柔軟な働き方」についても話題になりました。
 男性医師が、子どもの写真を見せて楽しそうに話す姿に「本当は早く帰りたいのでは」と思う木下さん。「男性医師からの応援も感じている」という冨田さん。
 みんなの意見は「女医が働きやすい環境は、男性医師にも働きやすい。条件を整えるためにも、医師を増やしたい」で一致。
 鈴木会長は「子育ては医師にとってデメリットではない。その経験を糧に成長していってほしい。みんなの意見も入れて提言づくりをすすめたい」と語りました。

*   *

 冨田礼花さんは一二月に無事に男の子を出産。母子ともに健康です。

(民医連新聞 第1443号 2009年1月5日)