輝く民医連の看護・介護 「子どもの苦痛をやわらげたい」“工夫”で職員も元気になった 広島共立病院 打越(うちこし)玲香(看護師)
当院の小児科病棟は、五歳未満の呼吸器疾患の患者が多く、吸入処置が頻繁にあります。しかし子どもが嫌がったり抵抗することが多く、吸入がうまくできないこともありました。
またそれが、看護師にとってもストレスになっていました。「必要だから、泣き叫ぶ子どもを抑制してでも、処置は行わなければならない。でも本当につらい」。こんな声が出ていました。
そこで少しでも楽に、そして有効に吸入できないか検討、「プレパレーション」の視点を取り入れて工夫しました。
子どもが楽しくなるように
私たちにとってプレパレーションは聞き慣れない言葉で、まず学習することから始めました。プレパレーションとは、子どもが病気や入院で起こす心理的な混 乱に対処する「心の準備」のことです。病気の知識などをやさしく教え、立ち向かう力を引き出します。しかし、対象者が幼いため理解させることは難しいです が、子どもの心理・視点に合わせて考えました。吸入器具が怖いものではなく、興味を引くように、装飾してみました。
乳幼児用の器具にはビーズをつけて、吸入すると音が鳴るように改良し、学童期用の器具には自分で選んだシールを貼ってもらうようにしました。吸入コンプレッサーは、かわいい布で覆(おお)い、隠しました。
その後、子どもが苦手な内服や、採血・血管確保など苦痛を与える処置にも、がんばってできた時に「ごほうびシール」をあげようと提案が出され、これも取り入れました。
看護師も意欲を引き出され
このような工夫の結果、暴れないように固定することが少なくなり、家族から楽しく吸入介助などができるという声が聞かれるようになりました。何より、子どもたちの笑顔が増えました。
看護師のストレスも緩和され、処置中の笑顔が増えました。そして子どもや家族、それぞれのペースに合わせてより良い対応をしようと、いっそう努力するようになりました。
自分たち自身が楽しみながらとりくんだことで、やりがいや主体性が引き出されたようです。
翌年、もっと発展させたいという声が出されました。アンケートをして療養環境を見直したり、子どもの興味を引き診察しやすくするためのグッズ作り、病室や処置室の飾りつけを行いました。
今後も地域から信頼され、安心して利用してもらえる小児科病棟をめざし努力を続けていきたいです。
(民医連新聞 第1443号 2009年1月5日)