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民医連新聞

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9条は宝 私の発言〈41〉 もう一つの顔は噺家(はなしか) 落語でやさしく平和・医療

安産亭 徳丸 師匠 安徳 剛(あんとく たけし)さん
 1958年、福岡県生まれ。中学時代から落語に親しみ、日本福祉大学では落語研究会に入会。1988年に広島中央保健生協に入職。古典落語を演じる一 方、社会問題をテーマに創作落語も手がけ、各地で高座に上がっている。現在、広島民医連で事務局員として奮闘中。

 開所二〇周年を迎えた広島・沼田診療所は一〇月一九日、「ぬましん健康フェスタ“20”」を開催。その出し物の一つが、安産亭徳丸師匠の創作落語。六〇人を超える組合員さんたちが待合室を埋め、軽快な語り口に大笑いしました。(聞き手 横山 健記者)

麻生「私は財界のキュウジョウを何とかしたい」
徳丸「それは『窮状』ですやろ。財界は大もうけして潤ってますがな。困ってるのは私たち庶民や」

 創作落語「九条変えたら苦情がいっぱい」の一シーン。憲法九条を変えようと企む麻生首相に会社をリストラされた中年のおっさん徳丸が抗議に行くお話です。
 この日は、ほかに創作落語「わたしゃコーキな高齢者」も披露。会場を沸かせました。

社会問題を落語に

 私が落語を好きになったのは中学生の時。兄の影響もあり、寝る前にラジオで落語を聞くのが楽しみでした。
 大学の落研(落語研究会)に入ってすぐ、先輩から「ほな高座名は、安産亭徳丸で」と。そのころは、いまより太っていて「安産型」だったから、みたいです。
 社会問題をテーマに創作落語をつくったのは二〇〇〇年。上司から「介護保険制度を、得意の落語で、組合員さんにわかりやすく紹介して」と、なかば業務命令で頼まれました。そして完成したのが「私は介護保険」です。
 私の創作落語はどれもそうですが、問題点を詳しく説明するものではありません。入門編としてオモシロおかしく、関心を持ってもらえれば、と思っています。
 いまは月三~四回ぐらい、全国の民医連事業所や民主団体に呼ばれて、高座に上がらせてもらっています。

平和だから「笑える」

 「九条落語は、絶対に一〇〇回はやろう」と決め、六八回までは数えていましたが…。この落語の 聴き所は、日本国憲法・前文の暗唱です。これは元「ザ・ニュースペーパー」の松元ヒロさんが舞台で暗唱していたのを見て、「自分の落語にとり入れたい」と 始めました。これがたいへん。紙に書き、壁に貼って覚え、子どもに「暗唱するからチェックして」と頼んだりして覚えました。
 落語は平和だから演じられ、楽しめます。第二次世界大戦中は「時局にふさわしくない」と自粛させられ、「『笑い』は不謹慎」と非国民扱いされるような時 代でした。平和だからこそ落語ができる。平和だからこそ言いたいことも言えます。「いまの憲法九条」は、本当に大切なものです。

「前文」の意味は信頼

 「そうはいっても軍隊は必要だから、九条は変えないと」という人もいます。本当にそうでしょう か? 私はペシャワール会のように、発展途上国で農業や治水をいっしょに行う活動こそが、本当の「国際貢献」だと思います。憲法前文にある「名誉ある地 位」とは「日本が世界から信頼される国になること」だと思います。みなさんは武器を持って介入してくる国を信頼できますか?
 趣味で落語を始めて三〇年。いまでも勉強も兼ねて機会をつくって寄席に通っています。私は、自分ならではのやり方、「落語」で平和を訴えていきたいと思っています。

(民医連新聞 第1440号 2008年11月17日)