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民医連新聞

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フォーカス 私たちの実践 小児の内服薬と虫歯 相互歯科(東京) 松澤広高・園田真里・濱野陽子(歯科医師)/清田真子(歯科衛生士) 添加物の“白糖”が問題 長期に飲むなら歯科受診を

 第一八回歯科学術運動交流集会で発表された研究です。

 内服薬を長期に服用する小児に、虫歯(う蝕)が多いのではないか、という臨床上の感触は前からありました。最近、それを強く疑う数例を経験したことを機に、小児の内服薬の実情を調査したので、報告し問題提起します。

長期の内服が共通

 A君(二歳)は一歳半検診で虫歯を指摘されました(写真)。当時、卒乳はまだでしたが、生活上の問題は特にありません。
 B君(一歳八カ月)も一歳半検診で虫歯を指摘され、母親は断乳。間食の時間を決めており、生活面の問題は特にありません。
 しかし二人の共通点は、ぜん息などで長期に薬剤を内服していたことです。A君は数カ月の処方がされ、寝る前の服用の薬もありました。B君は、四日、七日 など短期ですが頻繁に、かなりの量が処方されていました。そして母親は、リンゴジュースやアイスクリームに混ぜて飲ませていました。

うがいで取れない

 一九九六年に出た重要な研究があります(東北大)。ボランティアを使った実験で、シロップ液状 総合感冒剤に含まれる白糖(スクロース)濃度と歯垢の酸性度の関係を調べたものです。薬剤中の白糖は高濃度(二三%~四八%)で、これを摂取すると歯垢の PHは四・五~五・二まで低下しました(酸性化)。さらに摂取後、水で七回うがいしても、歯垢PHは低下したままでした。

多くの薬に白糖が

 よく使われる小児用薬に添加される糖を調べました。製品によって差はありますが、多くが白糖です。ザジテンDS(ドライシロップ)は一g中に〇・五gの白糖を含みます。ザジテンシロップは白糖とソルビトールです。
 ソルビトールの製造元(日研化成)によると、甘味のある糖アルコール中、キシリトールは虫歯を起こさず、ソルビトールは虫歯誘発性が否定できないそうです。
 また、たとえばオノンDSの添付文書では、白糖が添加物で本成分でないためか、副作用の項目に「虫歯」の記載はありません。メーカーは「虫歯の報告はな い」と言っています。ザジテンの製造元(ノバルティスファーマ)は、逆に二〇〇四年の日本医療薬学会で報告された「小児喘息患者におけるDS剤の長期服用 時の虫歯アンケート」を示し「安全」と説明しました。この報告は、浜松の薬局で一八三人の小児喘息患者の母親にアンケートし、虫歯の罹患率が浜松市平均よ り低いというもの。しかしこの調査は、歯科医師の診断でなく、母親の主観がベースで信頼性が低いと考えられます。

甘い食品と混ぜるのは「?」

 糖度計PAL―1を用い、四種のDSを測定したところ、水で溶いて液状にしたものに比べ、団子状にしたものは、糖度が四〇~四五%高くなりました。
 また母親からの聴き取りで、混ぜていると考えられたジュースやヨーグルトなどが、糖度にどう影響するか調べました(表)。薬剤だけに比べ、混ぜた場合の糖度は二~三倍になります。かなり危ない飲ませ方と考えられます。
 家庭や医療機関・薬局で当面行ってほしい手だては、(1)食後や眠前の服用は避け、(2)内服の期間をできるだけ短く、(3)内服期間は必ず歯科受診する、などです。
 ヨーロッパ各国では、すでにDSには白糖を使わず、キシリトールなどに替わっています。消費者運動やPL法によるものです。日本の製薬企業や薬事行政の問題も感じます。今後は、薬局や小児科と協力し、詳しく研究したいと考えています。

(民医連新聞 第1439号 2008年11月3日)