医師・看護師・介護士ら5000人 「患者さん守りたいからここに来た」
STOP! 医療・介護崩壊 増やせ社会保障費 10・19中央集会
―医師・看護師・介護士を増やして安全・安心の医療・介護を―
一〇月一九日、東京・日比谷公会堂とその周辺は、旗や横断幕、プラカードを 持った五〇〇〇人の参加者で埋まりました。集会の賛同は、昨年を上回る幅広い団体・個人に広がり、医師も約三〇〇人(うち民医連医師一二三人)、看護師や 介護職もたくさん参加しました。「患者さんと自分たちのことだから。いのちを守るためにたたかう」との決意を込めてパレードしました。(村田洋一記者)
医師・看護師少ない? 患者減らせばいい?
ザ・ニュースペーパー
コントグループ「ザ・ニュースペーパー」の小泉元首相(松下アキラさん)が登壇。
「医師・看護師不足の解消は簡単、比率の問題だ。患者を減らせばいい。そのための医療制度改革だから。高齢者の負担額を引き上げ、病院に行けなくなれば 患者が減る。医師や看護師は間に合う。大事なのは『鈍感力』。厚労省の責任も大きいのに、『厚かましく生きて、労働は省く』だから」と、言いたい放題。
自民党や官僚の本音と思えるような内容に会場は大爆笑でした。
大きく広がる連帯の輪
連帯のあいさつに立った笹森清さんは三年前まで「連合(日本労働組合総連合会)」会長でした (現・労働者福祉中央協議会長)。「後期高齢者医療制度は頭にきた。とんでもない日本を直す。この思いを一つに、いっしょに行動しようと参加した。主義主 張は違っても、命とくらしを守るために連帯しよう」と呼びかけました。
また「医療崩壊を食い止めたい」と開業医・勤務医が、今年六月に結成した「全国医師連盟」の代表・黒川衛医師も「ともにたたかう」と意思表明しました。
全国を駆け回っている医師の本田宏さんも「昨年、初めてこの集会に参加し、これが民主主義の基本の運動だと思った」と発言しました。
日本障害者協議会・理事の福井典子さんは「障がい者の権利を守るためにともにたたかう」。全国老後保障地域団体連絡会事務局長の後藤迪(みち)男(お) さんも「後期高齢者医療制度を廃止・撤廃させよう」と連帯と決意をのべました。
集会には宮城県医師会長の細谷仁憲さん、医師の香山リカさん、タレントの稲川淳二さんからも賛同のメッセージが。また、沖縄県老人クラブ連合会からも連帯のメッセージが届きました。
手を結び運動大きく
主催者を代表して日本医労連執行委員長の田中千恵子さんが「全国で多くの人たちと手を結び、運 動した結果、劇的な変化があった。医師や看護師、介護職員不足の原因が、社会保障費の削減であるとの世論が広がった。医学部定員の増加、看護師確保法の改 正、介護報酬のアップを勝ちとっていこう」とあいさつしました。
政党では日本共産党の小池晃・参議院議員が出席。社民党と国民新党がメッセージ。「出席する」と連絡のあった民主党は結局、参加しませんでした。
各地の現状を訴えるリレー発言も行われました。
青森健生病院の医師は「昨年、医師三人が退職した。外来は二時過ぎまで続き、病棟や会議に出て、五時からの外来を担当。終わるのは八時を過ぎ、昼食の時間もないほど。その後も病棟を回り、帰るのは午前〇時過ぎ」と過酷な状況を話しました。
介護士は「〇六年介護報酬の改悪で、経営は大打撃を受けた。平均賃金は一四万円。この低賃金が退職者の増加、過密労働を生み、悪循環となっている」と話しました。
最後に「いのちを最優先する政治に転換しよう」と集会アピールを採択し、元気にパレードに出発。道行く人に「医師・看護師・介護職員を増やして」と訴えました。
参加者の感想から
垰田まゆみさん
滋賀 坂本民主診療所・医師
こんな大集会の参加は初めて。全国の思いは一つ。患者さん、利用者さん、職員が困っている現状を本当に変えたいと強く思った。
上原昌義さん
沖縄生協病院・医師
医師・看護師不足からくる過重労働が職員のメンタルヘルスにも影響しています。自分たちが健康でよい環境で仕事ができるようにしたい。明日から心を新たにがんばります。コントも面白かった。
(民医連新聞 第1439号 2008年11月3日)