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民医連新聞

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高齢者の権利かかげて(4) 後期高齢者医療制度を総選挙の大きな争点に

受診できない高齢者

 高齢者の貧困と孤立化が深刻化しています。
 八月二二日、東京渋谷区のデパートで通行人に切りつけ逮捕された女性(79)は、所持金が六五〇〇円で、「事件を起こせば(生活は)警察が何とかしてくれるだろうと思った」と供述したと報道されました。
 また石川からは、床ずれが畳にくっつくまで受診できす、畳ごと民医連の病院に搬送されたという痛ましい事例も報告されています。「患者になれない病人」が確実に増加しています。
 全日本民医連が行った「緊急患者動向調査」で、後期高齢者の病院外来の通院日数(総日数)が一割も減少していることがわかりました。

高齢者を傷つけた

 後期高齢者医療制度は、「他人に迷惑をかけない」と生きてきた高齢者に、さらに「自助努力」「自己責任」を迫るものでした。「子を育て 国を富まして 邪魔にされ」という歌のように高齢者が自尊心を傷つけられ深い怒りが広がりました。
 「廃止するしかない!」という怒りと運動はかつてなく広がって政府を追い込み、福田前首相辞任の一因にもなりました。
 動揺しながらも、政府・与党は制度にしがみつこうとしています。麻生内閣は、「よりよい制度に改善する」として、現行制度を続ける方針です。
 舛添厚労相は「七五歳以上の方の怨嗟の的、年齢で切ったというのが一番大きかった。そういうことをひしひしと感じた」と記者会見でのべました。制度の責 任者である厚労相が、こんな発言をせざるを得ないのは、この制度がもはや存続不可能に陥っていることを示します。

ねらいは医療費抑制

 七五歳になったとたんに、長年にわたって保険料を納めてきた国保や健保から脱退させ、扶養家族から外し、差別的な医療制度に押し込め、ひたすら高齢者医療費を抑制・削減するのがこの制度の本質です。
 自民党の堀内光雄元総務会長の、「(制度の)ホンネのところは、お年寄りの医療費をさらしものにすることによって、消費税率の増加をもくろんでいる」という発言が報じられました。

あいまいな民主党の態度

 「廃止法案」を共同提出し、参議院で採択に賛成した民主党は、「後期高齢者医療制度の存続を前提とした見直し」を盛り込んだ補正予算案にあっさりと賛成しました。東京都議会では「廃止を求める意見書」の採択にも反対しています(頼りになりません)。
 解散総選挙が目前に迫っています。民医連新聞号外を大いに活用し、廃止を選挙の大きな争点に押し上げて、後期高齢者医療制度を廃止に追い込みましょう。(中央社会保障推進協議会事務局次長・相野谷安孝)

(民医連新聞 第1438号 2008年10月20日)