7・13全国大集会(横須賀) 平和を脅かす基地いらぬ
政府が住民の声を無視して決めた、原子炉二基をもつ空母ジョージ・ワシントンの母港化。配備されれば、首都圏が放射線被曝の危険にさらされ、日本が米軍の先制攻撃拠点として強化されます。七月一三日、神奈川県横須賀市で開かれた反対集会に三万人が集まりました。
また、横須賀市内で起きた米兵による犯罪の被害者と現場をまわる特別ツアーが前日の一二日、行われました。(横山 健記者/渋谷真樹記者)
平和に暮らす権利を
七月一三日、米軍横須賀基地に程近いヴェルニー公園に全国から約三万人が集まり、三〇度を超える炎天下に、「原子力空母の配備を許すな!」とこぶしを突き上げました。
実行委員会は「米軍の出撃基地強化は、世界の人びとの平和をますます脅かす。東京湾に動く原発はいらない」と力強く訴えました。自衛隊イラク派兵差止訴 訟の会代表の池住義憲さんは「画期的判決」「自衛隊イラク派兵は憲法違反」と書かれた旗をかかげ、「平和に暮らす権利は、すべての権利の基本。政府は判決 に従うべきだ」と語りました。
住民投票を成功させる会の呉東正彦さんは「ジョージ・ワシントンは五月二二日に火災を起こした。危険が明らかなのに九月末に配備される。ひとたび事故が 起これば、放射能は五分で首都圏に広がり、事故を知る前に被曝してしまう。『市のことは市民で決める』。そのために住民投票を成功させたい」と決意をのべ ました。
福岡や沖縄など各地から運動の報告後、吉田万三・全日本民医連副会長が「政府にモノも言えず税金を払うだけ、という時代じゃない。みんなで声をあげよう」と激励しました。
その後、市内をデモ行進し、沿道の人や車に「九条を守れ!」と呼びかけました。
被害者と歩く横須賀ツアー
「米軍は日本を守らない」
恐怖に震える市民
二年半前、佐藤好重(よしえ)さん(当時五六歳・女性)は米兵に惨殺されました。航空母艦キ ティホークの乗組員リース被告は遊ぶ金ほしさに、偶然通りかかった佐藤さんを一〇分以上も殴りつづけました。顔面が陥没するまで何度もコンクリートの柱に たたきつけ、肋骨の多くが折れ、血の泡を吹いて動かなくなってからバッグを奪いました。近くにあった防犯ビデオが好重さんの断末魔を録音していました。 「痛い! 助けて! やめて…」、それが証拠として法廷で流されました。
婚約者の山崎正則さんは、その声を聞いたとき「米軍に守られていると思っていたが、間違いだった。米兵は私たちを守ってくれないと多くの人に伝えよう」と決心しました。
日常にひそむ異常
集会の前日、事件の現場を山崎さんと歩きました。横須賀は外国人が多く、一見すると国際的な都市ですが、人を殺す訓練を受けた米兵が暮らし、市民は常に危険と隣り合わせで生活しています。佐藤さんが惨殺された場所は、ごく普通の住宅街でした。
日本を守るために駐留しているはずの米兵による犯罪が後を絶ちません。県内では年間一二~七五件、殺人容疑や強盗傷害容疑で米軍関係者が検挙される事件が起きています。
山崎さんは「日本政府は思いやり予算を使って米軍基地を置かせている。その米軍は兵隊をきちんと管理できていない」と指摘し、日米両政府に責任を求め、これ以上被害者が出ないように米軍は出て行けと訴えています。
二年前にも中川勝美さんが殺害された事件がありました。加害者は米軍の人事部長です。米兵を管理する立場でありながら、基地の正門前でバーを経営していました。
米軍が駐留しなければ奪われることがなかった命に、市民からは「許せん」と声があがっています。
在日米軍は日本国民を「守る」どころか生命を脅かしているのです。
(民医連新聞 第1433号 2008年8月4日)