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民医連新聞

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第33回 全国公害被害者総行動 国と企業は責任取れ!

 六月二~三日、今年も全国公害被害者総行動が東京で行われました。環境省前に水俣病患者、東京大気汚染被害者など約七〇〇人が集 まり「チッソは水俣病の責任を取れ!」「温暖化ストップ、国は公害対策を強化せよ!」と霞が関をデモ行進、各省庁や公害原因企業と交渉し、決起集会をひら きました。
 東京・神奈川・大阪民医連などが医療班を出し、各県連からも職員が患者に付き添いました。

 今回の総行動は、洞爺湖サミットを前に、公害防止策とともに温暖化防止策を政府に要求しました。
 水俣病不知火患者会は「日本列島縦断キャラバン」の途中で総行動に合流。五月一六日に熊本を出発、「水俣病患者全員の認定と救済」を訴えながら、七月のサミットに向け北海道入りします。
 ノーモア・ミナマタ原告団の桑鶴親次さんは「国は依然、被害の全容解明を拒んでいる。私は手足の痺れや耳鳴りで苦しみ、仕事もできなくなった。チッソは いつ私たちを苦しみから解放するのか。公害を黙認してきた国から償いを勝ちとるまでたたかう」と語りました。

東京の判決を全国に

 日比谷公会堂で二日に開かれた「全国被害者総決起集会」には、全国の公害被害者が登壇しました。
 「舞台」は、東京大気汚染裁判で勝利した原告団が、水俣病患者や有明海の漁師たちを激励、また「水俣ハイヤ節二〇〇一」を踊って会場と一体になり、盛り上がりました。
 佐賀と長崎沿岸の漁師や農家は「農漁業ができる海を返せ!」と、有明の諫早湾干拓の排水門開放を求めて訴えました。水俣病で娘を亡くした母親は「わが子 が痛い、痛いと泣く。私はさすって、少しでも痛みを取ろうとした」と当時を思い出して、声をつまらせながら語りました。

32年のたたかい

 水俣病被害者の会事務局長の中山裕二さんが基調報告。「総行動は三三回になった。血の滲むよう な三二年間のたたかいが、貴重な成果を生みだし連帯を広げた。私たちは自らの救済を求めるだけではなく、全国の公害地域の再生と、地球環境の改善を呼びか ける。いま新たな役割と飛躍が求められる」とのべ、「東京の大気汚染裁判の勝利和解は、政府や財界に真正面から挑んだ成果。必ず勝利すると確信した」と報 告。「この成果を広め、きれいな青空を全国のものにしよう」と呼びかけました。

戦争が最大の環境破壊

 薬害イレッサ(七〇〇人以上が副作用で死亡)訴訟や、高尾山(東京・八王子市)トンネル掘削に反対する天狗裁判、沖縄の嘉手納、普天間基地周辺住民が起こした騒音公害訴訟の支援要請などが続きました。
 「戦争こそ最大の環境破壊。平和を守り、次の世代に美しい山、川、海、きれいな空気を引き継ぎ、地球を守ろう」とのアピールを採択しました。

▼東京大気汚染裁判…一九九六年に提訴。二〇〇七年八月勝利和解し、都・国・自動車メーカーの拠出で医療費助成制度ができた。
▼不知火患者会…未認定患者の会。約一五〇〇人が国・熊本県・チッソに認定と損害賠償請求し係争中。

(民医連新聞 第1430号 2008年6月16日)