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民医連新聞

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後期高齢者の保険料「安くなった」1割未満 厚労相「7割が安く」は疑問 民医連の調査で明らかに

 後期高齢者医療制度をめぐる嘘。「保険料が安くなった世帯は七割」という厚生労働省の説明に対し、真っ向から反証したのが全日本 民医連の調査です。六〇〇〇件余の聴き取りで、「保険料が下がった」と回答したのは一割もいません。そして五割以上が「年金天引きは困る」。約四割が「制 度の導入で困った」と答えています。保険料の問題だけでない、高齢者のいのちと暮らしを破壊する非人間的な制度。全国で中止・撤廃にむけた運動が広がって います。

 全日本民医連は六月一一日、記者会見し、調査結果を発表しました。 調査は、加盟事業所の患 者・利用者で制度の対象になった六〇〇九人から聴き取りで行いました。全県連(四五)、四五二事業所の集計で、この規模のサンプル調査は全国で初めてです (調査期間四月一日~六月九日)。
 結果は、「保険料負担が高くなった」四二%、「安くなった」七%。「年金天引きは困るので止めてほしい」五四%。「医療費負担が高くなった」一五%でした。「制度の導入で困った」は三九%もいます。

厚労省モデルは全体を反映しない

 厚労省が「制度の創設に伴う保険料額の変化」で「七割が安くなった」と発表した根拠は、一二モデルの調査にすぎません。二割におよぶ「確実に高くなった層=子ども同居世帯」を除外するなど、多様な高齢者世帯の実情を反映していません。
 保険料が上がった世帯を少なく見せる「意図的で荒っぽい」手法。そういう調査からさえ、「低所得者が高くなった」事実が浮かび、マスコミ各社が「従来の政府説明と逆だ」と報道しました。
 一方、民医連の調査は、高齢者世帯のさまざまな型を含み、母集団も大きく、実態を反映していると見ることができます。

悪法の本質変わらず

 会見で、長瀬文雄事務局長は、「政府の言うように保険料が下がったなら、高齢者がこんなに怒る はずがない。また、保険料が上がった世帯が少なければよい、という性質のものではない。どんなに取り繕っても、高齢者を差別し長生きを否定する制度の本質 は変わらない。これは中止・撤廃しかない」と強調しました。 経済学者の宇沢弘文さんは「医療費を抑制する市場原理主義が、これほど非人間的で非倫理的に 表れた制度は世界に類がない」とのべました(6・5医団連集会)。運動は社会を揺さぶり始めました。

(民医連新聞 第1430号 2008年6月16日)

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