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民医連新聞

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生活保護の老齢母子加算廃止は不当 厚労省と交渉(SW委員会)

昨年六~八月に行った「生活保護老齢加算廃止後の生活実態調査」の結果(一月発表)をもとに四月二四日、厚生労働省に老齢加算・母子加算廃止の取り消しと生活保護の基準引き上げを要請し、交渉しました。
 調査にあたったSWの代表九人と事務局二人が参加。厚労省側は社会・援護局保護課係長二人でした。
 担当官は調査について「生の声が聞けたことは参考になった」と言いながらも、「調査は主観的アンケートでバイアスがかかっており、客観的な数字で示され ていない」と否定的で、要請に対しても、「社会保障生計調査の一般低所得世帯(第I―5分位(ぶんい))との比較で、生活保護の基準が高かった」と答弁し ました。
 また、私たちが調査を通し明らかにした「節約や、やりくりを通りこして我慢している実態」に対して、「第I―5分位の食費は月二万円。月二万円の食費で 生活できるはず」「カップラーメンを食べることは嗜好の問題」「特売や半額セールに行くことが果たして惨めと言えるのか」などと発言しました。
 第I―5分位の人の状況は最低生活を保障されていないことを示すもので、生活保護基準が高いという根拠になりません。朝日訴訟以来、追求してきた「権利 としての生活保護」を否定することは、行政官の態度として正しくない、と参加者は批判しました。
 担当官は老齢加算の廃止に対しても「時代、時代で最低生活水準は変わる。いまは老齢加算が必要な特別な事情は認められない」 。生活保護基準以下で生活している人が多数存在することに対して、「生活保護基準が貧困ラインを決めているとは考えていない」とまで発言しました。
 四月から通院移送費が原則支給廃止となった件に関しても「引き下げではなく、基準を明確にしただけ」 。また、「世論が納得するものでなければ」「厚労省は国会で議決された法律に基づいて運用しているだけ」 。こういう発言は自から厚労省の無責任さを示すものです。参加者らは抗議しました。
 憲法二五条を守り、権利としての生活保護行政を私たちの手に取り戻すためにも、「生存権裁判」や「反貧困ネットワーク」などとの幅広い連帯で世論に訴え 政治を変えることが必要です。(吉原和代、全日本民医連SW委員会委員長)

(民医連新聞 第1428号 2008年5月19日)