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民医連新聞

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第8回 学術・運動交流集会の報告から 患者会などのサポート 血糖コントロールに好影響 “生活・労働環境、社会的支援が重要”糖尿病423人を調査

石川・城北診療所

 板橋訓代(臨床検査技師)

 莇(あざみ)也寸志(医師)

 糖尿病患者様が定期に通院し、療養にとりくんでいても、血糖コントロールが改善できない場面にたびたび遭遇します。「患者様自身ではどうしようもない生活背景が、血糖コントロールに関与しているのでは」と考えました。
 また、患者様が糖尿病の治療を継続するうえで、経済的、精神的な負担をどう感じているでしょうか。それを知ることで、私たち医療従事者がもっと患者様をサポートできるのではと考えました。
 以上のことから、患者様の生活環境、労働環境、療養に対する経済的負担感、社会的支援(サポート)や糖尿病患者会の存在が、血糖コントロールに及ぼす影 響を調査することにしました。方法は聴き取りとカルテ調査で、受診中の患者様四二三人について実施しました。聴き取り内容については、当院の糖尿病患者会 「みのり会」役員さんから意見を聞きました。
 二〇〇七年の第一回目受診日のHbA1cを血糖コントロールの指標にして、聴き取った八項目との関係を分析しました(表1)。

社会的サポートが大切

 患者様全体では、HbA1cを高くする要因としては、薬物療法以外に、BMI、遅い夕食、遅い就寝時間が関与していました(表2上)。
 HbA1cを低くする要因として、患者会への入会、糖尿病や健康について気軽に話せる知人・友人がいること、血糖自己測定の実施が関与していました。
 また、六五歳以下の就労中の男性一二六人では、HbA1cを高くする要因として薬物療法以外にBMI、一日の労働の拘束時間、一人暮らしが関与していま した。HbA1cを低くする要因として、糖尿病や健康について気軽に話せる知人・友人がいることが関与していました(表2下)。
 全体で、糖尿病や健康について気軽に話し合える知人・友人がいると答えた人や、患者会に入会している人の血糖コントロールがよいという結果は、生活習慣とは独立していました。
 このことから、糖尿病の療養には、食習慣や運動習慣など自己努力だけでなく、社会的支援(サポート)が重要であるといえます。

長時間労働は悪影響

 また、就労中の男性では、一日の労働による拘束時間が延長するにつれ、HbA1cも高くなりました(図1)。HbA1cを職種別にみると、運転業務の従事者が最も高値でした(図2)。
 この結果から、長時間労働や仕事の裁量度の低さによるストレスが、血糖コントロールに影響していると推測され、個人の労働環境が食習慣(遅い夕食、遅い 就寝時間、朝食ぬき)などの保健行動を介さずに直接、糖尿病に影響していることを示唆しました。

自己責任にとらわれず

 社会環境や労働環境が、個人の保健行動や精神心理学的、生物学的メカニズムを介して、健康や死亡に大きく影響するという「社会疫学的視点」が注目されて います。個人の自己責任による「生活習慣病」という概念にとらわれず、一人暮らしや社会的なつながりが希薄な患者様に、患者会参加を促したり、労働条件を 考慮し、糖尿病に対する想いを傾聴し、励まし支援していく関係を築くことが求められます。
 民医連がすすめてきた歴史ある患者会活動に確信をもち、「入会して健康のことを気軽に話せる仲間を増やし、HbA1cを下げましょう!」と声をかけましょう。

(民医連新聞 第1425号 2008年4月7日)