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民医連新聞

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“核兵器廃絶運動は医師の使命” 核戦争防止国際医師会議

 核兵器廃絶を求める医師たちの世界的組織、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)第一八回世界大会が三月九日から三日間、インド のデリー市で開かれ、五八カ国からのべ六〇〇人の医師、医学生が参加しました。「反核医師の会」から二一人(うち民医連の医師一一人・医学生三人)が代表 団として参加。民医連の青年医師二人の感想を紹介します。

核兵器を廃絶し、持続可能な世界を
熊本・菊陽病院 寺内奈緒

 世界会議では「核兵器廃絶にむけた国際キャンペーン 挑戦と好機」など、五つのテーマの全体会やパネルディスカッション、分科会が行われました。インドのハミッド・アンサリ副大統領やアンブマニ・ラマドス労働保健大臣も出席し、演説しました。
 一日目、日本の代表団は屋外のブースで原爆写真展と「戦争と医学」展をしました。被爆の実相を話しながら核兵器廃絶署名の賛同を訴えると、一一一筆集ま りました。「九条の会」のシール二〇〇枚、「LOVE&PEACEバッジ」二〇〇個、折鶴八〇羽を配布すると、初日でなくなりました。
 二日目の全体会議では、いきなり「グローバル化は戦争と暴力を必要とする」という現状規定が提起されました。なりふりかまわぬ自由主義経済の推進者たち は、軍需産業の要請のもとにイラク戦争を起こし、もうけのために勝つことしか考えず、「思いやり」という言葉に対して攻撃する、というのです。
 「そのような勢力が核兵器を必要とするのだ」と、IPPNWがたたかうべき相手を明らかにしました。
 パネルディスカッション「エネルギー安全保障の選択肢」では、原子力エネルギーではなく水力発電、太陽光発電などの再生エネルギーに期待をかけます。
 ドイツの代表者は「多国籍企業は原子力ばかりに期待して、再生エネルギーには興味がない」と話し、ウラン鉱山周辺住民の小児ガンや白血病などの健康被害 のデータを示しながら「三分の二の国民が原発に反対している」と報告。原子炉一五〇件の事故とウラン被害について裁判に訴えているそうです。
 ネパールの代表団は「戦争の原因の一つはエネルギー資源の問題」と話し、ヒマラヤ山脈の豊富な水資源を利用した水力発電の可能性についてふれ、これが環境と社会正義を守る「持続可能な」対策としています。

医師が果たす役割

 現存する二万九〇〇〇発もの核兵器が一発でも使用されれば、世界は「持続不可能」です。持続可能な世界になるには核兵器の問題だけでなく、環境問題にも とりくむ必要があります。また、このような活動自体が「持続可能」でないといけない、そんなメッセージが印象的でした。
 「健康や命について知りうる医師だからこそ、核兵器廃絶の運動においても果たす役割は大きく、あらゆることを発信していく必要がある」という発言が心に響きました。

「核兵器なくせ」 行動続ける決意
大阪・耳原総合病院 吉川 徹

 「イラク戦争の健康被害」というテーマの分科会に参加しました。イラク戦争後、学者や医師が国 外に逃げ、また爆撃で病院などの医療機関が破壊されたため、医療システムの崩壊が起きていることを知りました。戦争による破壊は短時間ですが、再生には時 間がかかり、その間も多くの人が命を落とす。戦争は許せないと痛切に感じました。
 全体会では、インドの貧困問題と戦争がとり上げられ、非常に興味を持ちました。インドは六〇%以上が貧困層です。しかし、世界の長者番付一〇位以内にインド人が数人入っています。かなりの格差があります。
 インドは「国の安定を得るため」といって、お金をかけて核兵器をつくり、保有国になっています。「兵器のためにお金を使うのではなく、貧困な人びとを救 うためにお金を使うべき」という報告でした。まさにその通りだと思いました。
 この貴重な経験を様ざまな人に伝え、行動していきたいです。

(民医連新聞 第1425号 2008年4月7日)