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民医連新聞

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室温零下 “厚着でガマン” 民医連が「灯油高騰の緊急生活影響調査」

 灯油価格の高騰が、高齢者の生活を直撃しています。全日本民医連は、北海道や東北などの寒冷地の緊急生活影響調査を実施。一二県 連から三二一件の調査報告が集まりました。高齢者、特に低所得世帯では、寒い部屋でガマンしたり、暖房を使う時間や場所を減らしたり、食費を節約して暖房 費に充てるなど深刻な影響が出ていました。結果を二月七日に記者会見で発表しました。

健康悪化 いのちに関わる

 灯油の価格が一㍑あたり五〇円だったのが、昨年末から約一〇〇円にも高騰しています。原因は、イラク戦争などの不安定な中東情勢や中国・インドでの原油の需要増、またアメリカのサブプライム問題で投機マネーが金融市場から原油市場へ流入していることなどが挙げられます。
 消費者団体などが各地で運動し、「福祉灯油」を実施した自治体もあります(国が半額補助、一世帯五〇〇〇~二万円)。しかし、非課税世帯に限るなど対象 が狭く、札幌市のように「予算がない」と拒否する自治体もあります。

収入の差が室温の差に

 調査は一月一四~二七日、訪問し室温を測定、聴きとりしました。その結果、「暖房の使用時間を減らしている」家庭がほとんどで、調査した職員は「健康への悪影響が心配」と話しました。
shinbun_1422_02 また、収入によって室温に二度も差があることも分かりました。収入の格差が、いのちの格差につながっています(図)
 全日本民医連・大河原貞人事務局次長は次のように語りました。
 「灯油の値上がりで、高齢者は暖房器具を使う場所や時間を限定して節約しています。寒いので、食費などを削って暖房費に充てるなど厳しい生活を強いられ、援助を求めていました。
 室温が外気温と同じ零下のお宅もありました。室内でマフラーや手袋、重ね着をして耐えています。体がこわばり、血行不良や転倒、布団から出られないため 歩行機能の低下や閉じこもりも心配です。世界第二位の経済力を誇る日本で、高齢者が悲鳴をあげるなど、放っておけません。政府は福祉灯油予算を増額し、自 治体は直ちに、支援策をとるべきです。
 そもそも高齢者世帯には低所得が多く、すでにギリギリの生活をしている。少しの負担増が命に関わります。四月の後期高齢者制度など、高齢者いじめは直ちに中止すべきです」。
 全日本民医連は、福田首相と舛添厚生労働相に緊急援助策を求める要望書を提出しました。

「食費削って灯油代に…」

山形県 男性(60代・独居、室温8℃)透析患者さん。暖房を使う時間(1日2~3時間)と場所を減らしている。灯油が高いため、1月中旬から昼・夕食の配食弁当を中止し、食費を削っている。日中は、ベッドに入り、寒さをしのいでいる状態。
 訪問者の感想:ストーブはついていたが寒く、本人もジャンパー、私もコートが脱げなかった。生活保護の対象にならず、ギリギリの生活をしている人の実態を把握してほしい。

「来客時しかつけない」

石川県 女性(101歳・独居、室温12℃)電気ストーブとコタツのみで、灯油の使用を減らしている。木造アパート暮らしで、来客時しか石油ストーブを使用せず、ヒンヤリしている。本人は厚着。後期高齢者制度について「100歳以上生きてきたが、早く死ねということか。制度を中止してほしい」と話す。

上5枚、下4枚で寒さしのぐ

長野県 男性(70代・老夫婦世帯、室温1℃)暖房を使う時間と場所を減らしている。看護師がベッドサイドにいる時はオンにして、薬の準備などで少しでも離れるとオフにしている。灯油代の補助があるが当てはまらずもらえない。1カ月分買うと1万5000円以上だった。「暮らしていけない」と話す。
 訪問者の感想:布団をかぶり、上5枚、下4枚を重ね着。冬場は血圧が上昇するが、今年はさらにその傾向が強い。暖房費節約の影響か? 寒さだけ援助があっても、生活自体がギリギリの様子。

(民医連新聞 第1422号 2008年2月18日)