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民医連新聞

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これが健康で文化的な生活か 生活保護老齢加算廃止の影響調査 民医連SWが記者会見

 七〇歳以上の生活保護受給者に支給されていた、老齢加算(月づき約一万五〇〇〇円~一万八〇〇〇円)が二〇〇四年から削減され、 〇六年三月末に廃止になりました。民医連ソーシャルワーカー(SW)はその影響を調査し、一月二四日の記者会見で発表しました。「食事や入浴の回数を減ら した」「下着も買えない」など、憲法二五条に違反する実態が明らかに。調査結果は、全国の生存権裁判支援や制度改善のとりくみに活かします。(板東由起記 者)

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 調査では、四〇一世帯を訪問し、丹念に聴きとり(〇七年六~八月)、三八八(単身三〇五、夫婦八三)世帯分をまとめました。

おかずはたくあんだけ

 廃止後、多くの人が切りつめていたのは食費でした。一日の食事回数が「二回以下」が二四%。しかも「おかずがいらないパンやうどんで済ます」「食事は朝昼兼用。残りを夕食に」「おかずはたくあんだけ」「朝は水でお腹をふくらませる」「月末は一日一食」という人もいます。
 単身世帯の二三・三%が一カ月の食費が二万円未満。五二・一%が三万円未満におさえています。
 次に多かったのが被服履物費です。四〇%が「まったく買わなくなった」。冬服を切って夏に着たり、パンツのゴムが切れても買い換えられないのです。
 風呂や洗濯は三日に一回、テレビの明かりを照明代わりにしている人もいて、苦しい生活ぶりが分かりました。
 また、単身世帯で一カ月の交通費0円が四二・六%、教養娯楽費0円が六二・六%、交際費0円が三五・七%もいます。これは「お金がかかる」「肩身がせまいから」と、外出や交際を断っているからです。
 現在の生活保護費では、親族の葬儀にすら参列できない、地域のつきあいも断たなければならないのです。これが「健康で文化的な生活」でしょうか?

憲法で保障された権利

 埼玉・熊谷生協病院SWの竹本耕造さんは言います。「加算があってもギリギリだったのに、二割もカットされ相当苦しいはず。でも『もらえるだけありがたい』と言う人が多い」。
 調査の中で「生活保護を受給する前は、死に場所を探すくらい困っていた。今は一日一食でも食べられる」「戦時中と比べるとマシ」「今までくぐってきた辛 苦(しんく)に比べれば何とか生活できる」。黙ってガマンしている人が多数いました。
 竹本さんは「誰もが受けられる権利なのに、偏見を助長し、申請をさせない福祉事務所も多い。背景に国の福祉切り捨て政策がある」と憤ります。
 「黙っていればどんどん悪くなる」と、たち上がったのが生存権裁判の原告です。

国民全体の問題

 生活保護基準の引き下げは、受給者だけの問題ではありません。最低賃金、就学援助、地方税の非課税基準、国保・介護保険の減免基準などに連動し、国民の生活全体を引き下げます。
 全日本民医連SW委員長の吉原和代さんは、「一一〇五万世帯が生活保護基準以下の生活を余儀なくされている。実際受給できている世帯もわずか一割。社会 保障を敵視する政策を切り替えないと何も変わらない。この結果を国に突きつけ、たたかう」と。同委員の本庄美也子さんは「老齢加算の復活だけでなく、最低 生活費の底上げがなければ人間らしい生活はできない。国はさらに基準を引き下げようとしている。生活に困った人は誰でも受給でき、基準を人間らしい生活が できるよう引き上げを求めたい。SWはその先頭に立ちたい」と決意を固めています。
 国は政策を変更しても、その後の国民の生活実態を調べようともしません。変更した以上、その実態を明らかにする必要があります。そして、国民の生活に目を向け、責任をもって緊急に対策をとるべきです。

(民医連新聞 第1422号 2008年2月18日)