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民医連新聞

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後期高齢者医療制度 中止・撤回の運動ねばりづよく 相野谷安孝・中央社保協事務局次長(全日本民医連理事)に聞く

 政府は、新たに保険料負担が発生する健保被扶養者だけ、半年間、保険料を徴収せず、次の半年間も一割に減額。七〇~七四歳の二割負担化も延期しました。一一月に決まった各県の保険料も、いま支払っている国保料とあまり変わらないように抑えました。
 ただ問題なのは、今度の制度が、単に負担増にとどまらない「構造改革」であるという点です。病気のリスクが高い後期高齢者だけ集めた保険をつくるねらい は、医療費を抑制することです。現在、後期高齢者は約一三〇〇万人ですが、二〇二五年をピークに約二五〇〇万人まで増えます。当然、医療費は倍近くになる ことが予想されますが、政府は二〇二五年の医療費を八兆円削減する目標を定めています。人口が増えても医療費を減らされれば、使える医療が薄まるというこ とです。今後医療費が上がれば、保険料の値上げか医療水準(診療報酬)の引き下げかの二者択一を迫るひどい制度なのです。
 一月六日付の毎日新聞が「患者一人に一人の主治医とし、高齢者が複数の医療機関にかからないようにすることで、医療費を抑制するのがねらい」と報じまし た。入院も診療報酬の定額制で、医療費を抑える方向が検討されています。

天引きで火がつく

 六月から、後期高齢者だけでなく、六五~七四歳の前期高齢者の国保料も年金から天引きされます。生活が苦しくて、これまで保険料を分納したり、「支払い 猶予」を受けていた人もいます。こうした人の中では、天引きで「生活できない」という事態も生まれるのではないでしょうか。
 いまでも所得の低い人の四割が医療機関にかかっていないという報告もあります。受診できなくなる高齢者が増えるはずです。実施されれば、多くの高齢者が「天引き」に怒りを覚えると思います。社保協は相談活動とともに、中止・撤回に向けた宣伝を強めます。
 また、健保や国保から脱退を強制され、不利益を被る人も出ます。健保本人だった人は、傷病手当や休業補償がなくなります。七五歳の誕生日を境に葬祭費が 減らされる人もいます。発生する具体的な不利益や問題を告発し、あくまで中止・撤回の運動を大きくしていくことが大切です。
 総選挙で「社会保障が争点」と回答した人は六五%にのぼります。制度の実施は、自公政権のアキレス腱となる可能性があります。

(民医連新聞 第1420号 2008年1月21日)