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民医連新聞

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地域で医療を守る(17) 請願署名 人口の1/3を達成 整形外科の縮小くい止める 熊本

 市民の運動で、地域の公的病院の診療縮小を食い止めた経験です。健康友の会も大きな役割を果たしました。

 熊本県八代市は、人口一四万人。公的病院として、熊本労災病院と社会保険庁の事業団が運営する八代総合病院があります。
 二〇〇六年一月、熊日新聞が突然「八代総合病院小児科、三月末で休止。夜間救急入院対応、労災病院のみに」と報じ、市民は驚きました。
 八代総合病院は小児科、整形外科などを縮小、熊本労災病院に集約化、二次救急医療機関は労災病院だけになりました。八代総合病院は小児科に定評があり、 多くの市民が利用していました。四〇〇人の透析患者を診る唯一の腎センターもあり、合併症に対応できました。今は透析患者が骨折などで外科治療をする場 合、転院しなくてはなりません。三四四床のうち一〇〇床が休止しました。社会保険庁は、赤字部門を切り捨て、地域医療を後退させたのです。

市長、 市議会も協力約束

 患者は熊本労災病院に集中しました。そこでも受け入れが困難な患者が五〇キロ離れた熊本市の病院へ送られたり、骨折の患者が応急手当で帰され、手術は数日後という異常な状態が起きました。
 二月、地域の仲間や団体が集まり「八代地域の医療を良くする会」準備会を結成しました。「八代健康友の会」も参加しました。全町内会、団体、労組に呼び かけ請願署名を始めました。八代市長と八代市議会に申し入れ、全面的な協力の約束を得ました。熊本県にも申し入れ、熊本大学には医師派遣を依頼しました。
 三月に講演会、五月に学習会を開催し、医療情勢、医療法改正、診療報酬などを学びながら「会」をどう広げるか話し合いました。一三回の準備会を経て、八 月三日「八代地域の医療を良くする会」の結成総会を迎えました。保守系の国会議員一人、県会議員四人、市会議員六人を含め八〇人が参加し、入会者は三〇〇 人を超えました。代表には、八代総合病院OBで、準備会の会長だった星野一徳(かずのり)さんが選ばれました。健康友の会の会長でもあります。八月一八日 には「結成記念・医療講演会」を二五〇人で行いました。

市民あげての署名運動

 請願署名の項目は、一点は八代総合病院の存続・充実で「産科、小児科、整形外科など休止・縮小 されている診療科の再開、休止一〇〇床の再開」です。二点目は「医師・看護師の増員」です。目標は八万筆。各町内会と各団体に要請しました。一一月までに 人口の三分の一に当たる五万筆を集め、国会に要請しました。
 八代健康友の会もがんばりました。全会員に署名用紙を郵送し、運営委員会や班会議で状況を伝え、総会や講演会に多数参加。職員も街頭署名に出ました。
 そして二〇〇七年四月、八代総合病院に三人の整形外科医が常勤することが決まりました。整形外科の外来診療、入院も可能になり、熊本労災病院の一極集中が緩和されました。
 この成果は友の会の励みになりました。今後も「八代地域の医療を良くする会」を強め、小児科の再開に向けて活動したいと考えています。(吉川加奈子、八代中央クリニック)

(民医連新聞 第1415号 2007年11月5日)