今後の課題は後継者育成 第10回被ばく問題交流集会 あらたな被ばく者を出さない決意
全日本民医連は九月八~九日、第一〇回被ばく問題交流集会を東京都内で開きました。二〇県連から六二人が参加しました。
基調報告で聞間元(ききま はじめ)委員長は、各地で勝利した原爆症認定集団訴訟の判決の特徴と、民医連医師団が果たした役割を報告。また原発・核燃サ イクル施設の問題にふれました。民医連の重点課題について、がんを無条件で認定させる運動、被爆者データベース化、後継者育成などをあげました。
宮原哲朗・全国弁護団事務局長が「原爆症認定集団訴訟の現状と今後の課題」と題して講演しました。宮原氏は、司法判断を徹底して無視する厚生労働省を批 判。「国民を味方にして、認定制度の抜本的改善を勝ちとろう」とのべました。
直野章子・九州大学准教授が「在外被爆者問題の現状と課題」で記念講演。世界に五〇〇〇人という在外被爆者の現状と歴史的な背景、日本政府の対応につい て話し、「広島・長崎で被爆した人の約一割が強制連行された朝鮮半島の人だった」とのべました。在外被爆者から聴きとった苦しみを話し、「日本は唯一の被 爆国だが、唯一の被爆国民ではない。国は在外被爆者に対し、人道支援ではなく、国家補償すべき」と強調しました。
映像とトーク企画は、映画「六ヶ所村ラプソディー」の監督である鎌仲ひとみさん。青森六ヶ所村の核燃料再処理工場は、広大な範囲を放射能汚染する危険な施設だと話しました。
二日目は、指定報告が六つ。在外被爆者医療(広島)、集団訴訟支援(千葉)、原爆症認定申請の援助(兵庫・静岡)、高齢化した被爆者の医療・介護・福祉 (長崎)、原発と住民運動(福島)。特別報告は、 原発・核燃サイクル問題(横濱正幸委員)。これらの報告を受け、活発に全体討論しました。
参加者は「在外被爆者への政府の対応に怒りを感じた」、「被爆者の高齢化問題と医療、介護、福祉の対応が緊急課題」、「勉強になった」と感想を話しました。
(民医連新聞 第1413号 2007年10月1日)