地域で医療を守る(16) 社保協が「国保119番」「差し押さえの通知が」の訴えも 福島
今年も福島県社保協は、六月二五日と七月一八日に、「国民健康保険一一九番」を実施しました。相談の内容からは、生活の悪化に追い討ちをかける増税、冷淡な行政の対応、人権侵害などが明らかになりました。民医連の職員も相談員などで奮闘しました。
福島市、郡山市、いわき市、会津若松市に電話を開設し、受付件数は、六月が二三件、七月が一七 件でした。今回、新聞やテレビ、ラジオが電話番号などを報道したので知った人が多く、当日以降も問い合わせや相談が続きました。受付は、民商、郡山医療生 協、日本共産党市議団など、社保協の構成団体で組みました。
ここ数年、県内各市町村の国保税は上がり続けています。そのため、滞納についての相談が増えています。相談者の多くが借金をかかえ、失業、会社の倒産、 営業不振、生活の苦しさを訴えます。別居や自己破産など、生活基盤を失っていることも気がかりでした。
「借りてでも払え」とは…
さらに今回の相談では、「督促状がきた」「差し押さえの連絡がきた」など、行政の強圧的な徴収手段に対する怒りや不安の声があい次ぎました。
多重債務を抱え、国保税二五〇万円の滞納がある相談者は、市役所で「金融業者から借りて支払ってくれ」と言われた、と訴えました(郡山市)。
【国保税が払えない】自営業だが収入が上がらず、借金もある。国保税が三三万円。年金保険料も住民税も上がり、滞納がどんどん増える。子どもに服も買ってやれない。どうしたら…
会津若松市は市民税の滞納者に真っ赤な封筒で督促しています。これは人権侵害として国会でも問 題となりました。「短期保険証に真っ赤な『短』のハンコを押すのはやめてほしい。病院で医師や看護師に見られる。お金がないと、まともな医療をしてもらえ ないかと心配だ」という人。「夫と別居しており保険証がない。市役所に相談したら、離婚しないと別の保険証を出せないと言う。相談窓口に衝立(ついたて) もない」と話した人も。
いっしょに申請に行こう
年金について、社保協を社会保険庁の機関と間違えて怒りをぶつけてきた人もいました。
住民税や介護保険料の引き上げに関する相談もありました。
今回の一一九番では、実際の減免申請などに結びつけることも目標にしました。
福島市では、生活と健康を守る会が、わたり病院やさくらみずクリニックで「生活なんでも相談会」を実施しています。電話をしてきた人に、これらの相談会を紹介し、いっしょに減免申請に行こうと誘いました。
実態と情報を伝えたい
今回の相談を通じて、市民の生活の悪化、重い税負担、冷たい行政の対応が浮き彫りに。しかし、実際に電話をかけてきたり、相談会に来る人はまだ少数です。
足を踏み出せない人にも私たちの声が届くよう、活動を広げていきたいと思います。諸制度の改善を市町村に働きかける上では、マスコミを通じて県民に実態と情報を伝えることも重要と考えます。
福島県社保協事務局長 鈴木隆夫(福島医療生協)
(民医連新聞 第1413号 2007年10月1日)